弁護士コラム

離婚を考えたときに準備すべき事柄のまとめ

2024.09.02

離婚を考えはじめたときに

  • 配偶者と性格があわず離婚を考えはじめた
  • 配偶者の不倫や家庭内暴力があり離婚したい
  • 配偶者から離婚してほしいと言われた
  • 長期間別居していてそろそろ離婚したい

離婚のきっかけや原因は様々です。このページでは、離婚を考えはじめたときに準備をしていただきたい事柄についてまとめています。多くのケースに共通する事項をまとめていますが、具体的な事案においては他にも検討すべき事柄があるため詳細なご案内が必要な場合は個別にお問い合わせください

一覧

離婚を考えたときに確認や準備をしていただきたいことの一覧は次のとおりです。

  • 親権争いの有無
  • 相手方配偶者の有責を裏付ける証拠
  • 双方の収入状況及び財産状況に関する資料
  • 別居の検討



以下で、それぞれ詳しく説明しています。

親権争いの有無

親権争いの有無

成年(18歳)に満たない子がいる場合、離婚の際に親権者を定める必要があります。決まらない場合は離婚を成立させることはできません。当事者の協議(話し合い)によって親権を決めることができそうかどうかを検討していただき、争いになる可能性がある場合はご自身が親権を取得できる可能性がどの程度あるのか、弁護士のアドバイスを受けてください。

相手方配偶者の有責を裏付ける証拠

有責とは、離婚について一方当事者に何らかの落ち度があることです。典型的なものは、相手方配偶者の不倫や家庭内暴力です。

離婚についての話し合いがこじれ、弁護士の介入や離婚調停での解決が必要となった場合にその時点から証拠を獲得していくことは通常困難です。また、相手方配偶者が証拠を隠してしまうことも想定されますので、証拠は問題が悪化する前に確保しておいていただく必要があります。

一例としては以下のようなものを証拠とできる可能性があります。

  • 不倫相手とのLINE、SMS、アプリでのやりとりの写真やスクリーンショット
  • 配偶者と不倫相手がラブホテルや不倫相手の自宅に出入りしている写真
  • 不倫相手の裸や性交渉の様子を写した写真や動画
  • ラブホテルの利用代金が記載されたクレジットカードの明細
  • DVによる怪我の写真
  • 配偶者が自宅内で暴れ壊したものの写真
  • 配偶者の発言を記録した録音
  • 怪我の診断書
  • 警察に被害相談をしている事実



なお、親族など関係者や第三者の証言は証拠として利用し辛く証拠としての価値が低い場合が少なくありません。裁判官に見せることで事実関係を確認できる写真や録音などの客観的な証拠があることが望ましいです。

双方の収入状況及び財産状況に関する資料

夫婦双方の収入状況や財産状況を明らかにする必要があります。収入状況は別居中の婚姻費用や離婚後の養育費の算定に用い、財産状況は離婚に伴う財産分与の判断に必要です。 

収入状況は、給与所得者である場合は直近の源泉徴収票があることが望ましいです。源泉徴収票が入手できない場合、お住まいの市によっては市民税・県民税の課税証明書を取得できる場合がありますので市役所にお問い合わせされてください。

事業所得者(個人事業主の場合)の場合は、直近の確定申告書の控えを入手していただくことが望ましいです。

財産状況に関する資料は多岐に亘ります。離婚裁判に発展した場合、裁判所を通じた調査により後日に把握できる場合があることは否定するものではありませんが、協議(交渉)や調停の段階においては充実した調査をすることは容易ではありません。そのため、やはりある程度は事前に当事者において把握しておいていただくことが望ましいといえます。

具体例は以下のとおりです。

  • 配偶者名義の銀行口座に関する情報(銀行名・支店名・口座番号)
  • 有価証券(株式や投資信託)に関する情報(証券会社名や株主総会の招集通知など)
  • 持ち家の場合における、自宅不動産の見積もり金額やローンの残高
  • 生命保険など、保険契約を有する保険会社名や証券番号
  • 所有する自動車の車種、型式、年式、現在の価値(車検証や見積書)
  • 退職金の有無及び金額



また、厳密には財産分与ではありませんが、婚姻期間中に一方が他方の扶養に入っていた期間がある場合、年金分割の手続きを行うことが想定されますので年金事務所や共済窓口で「年金分割のための情報通知書」という書類を取得されておいてください。

婚姻前から有していた財産や、婚姻後に取得した財産であっても相続で取得した財産は財産分与の対象にはなりません。そのような財産がある場合は、内容を明らかにできるように銀行の取引履歴や遺産分割協議書を準備してください。

別居の検討

詳しくは別の記事で解説していますが、早期に離婚を成立させるために別居を行うことが有効な場合は多いです。

別居は離婚後の生活の先取りです。離婚が成立した場合は、別居後の生活に近い(正確には婚姻費用がなくなる分より苦しい)生活になります。

今、経済的理由から別居が困難である場合や近くに親族がおらず協力を得ることが困難な場合は「別居はできない」という判断になるかもしれませんが、離婚成立後はより苦しい生活になるため、別居が困難な場合はそもそも離婚をしてよいのか立ち止まって考えていただく必要があります。

給付の内容や対象、条件が異なるため一概にはご案内ができませんが、行政からの給付を得られる場合がありますので、別居後(離婚後)の生活についてイメージが持てない場合は市役所で得られる可能性のある給付について案内を受けていただくようにしてください。

既に別居しているものの、配偶者から生活費の支払いがない場合、婚姻費用の分担(生活費の支払い)を求めることができます。そのような場合は、お近くの法律事務所に速やかにご相談されてください。

まとめ

離婚は身近な法律問題ですが、話し合いでの解決ができなかった場合、調停や裁判の手続きには相当の時間を要してしまいます。

あらかじめ準備をしておくことで話し合いの段階においても見通しを立てやすく、資料に基づいて冷静に話を進めていくことができ、仮に調停や訴訟に発展したとしても充実した対応をすることができます。

十分に準備や証拠集めをすることなく離婚の交渉や調停を進めてしまったがために時間ばかりがかかり当事者の対立がいたずらに深まっているケースも散見されます。スムーズな離婚を成立させるためにも事前の準備はおろそかにされないでください。

弁護士がお手伝いできること

弁護士がお手伝いできること

上記では多くの離婚事件に共通する事項をまとめています。もっとも、具体的な事案においては他にも検討すべき事柄があります。より詳細なご案内が必要な場合は個別にお問い合わせください。離婚事件に精通した弁護士がより望ましい条件での早期の離婚成立に向けてお手伝いします。

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