弁護士コラム

離婚成立のための別居のすすめ

2024.08.26

離婚したい場合には別居が有効

離婚したい場合には別居が有効

配偶者との離婚を考えている場合、離婚に向けた話し合いや交渉に先立って別居を行うことは離婚事件の早期解決に極めて有効です。これは、相手方配偶者による不倫や家庭内暴力がなく、性格の不一致を理由とする離婚希望の場合にはより一層当てはまります。

以下では、なぜ別居が有効なのか、早期の別居をおすすめするのかを説明しています。

別居は、離婚後の生活の先取りであること

別居は離婚後の生活の先取りです。どういうことか見ていきましょう。

別居後は、夫婦の家計は別になります。収入が多い配偶者が少ない方の配偶者に対して婚姻費用(生活費)を支払う義務があることを除けば、夫のお金(給与などの収入)は夫のお金であり、妻の収入は妻の収入です。別居中の夫婦は、それぞれの収入でそれぞれの生活を送ることになります。

もっとも、これは離婚が成立した場合も同じです。むしろ離婚後には婚姻費用の支払いがなくなることを考えれば、別居中の状況は離婚後の状況よりも経済的には好ましいのが一般的です。

あなたが離婚を検討している場合、別居することを必ず検討してください。検討した結果、経済的な理由や近くに親族がおらず支援を得ることができないことから別居に踏み切れない場合、離婚自体を見直す必要もあるかもしれません。離婚を成立させてしまうことで、より経済的に困窮する可能性があるからです。

そのような場合は、配偶者に対して離婚を持ち出す前に、一度市役所など行政に相談をされてください。行政からの給付を得られる場合がありますので、事前に自分が給付を受けられるのかを確認していただくべきです。

なお、配偶者から酷い暴力を受けている場合などは直ちに別居をするべきです。この場合も、まずは行政やシェルターへの相談を進めてください。

配偶者に対して離婚の希望が強く伝わること

別居は離婚後の生活の先取りだと先にご説明いたしました。

これは、配偶者の立場に立っても同様です。

たとえば、あなたが離婚を希望しているものの、配偶者が離婚を拒否している場合を想定してみましょう。

配偶者が離婚を嫌がる理由は色々想像できますが、中には、「あなたの気が変わるかもしれない」とか、「本気ではないだろう」と真剣に取り合っていない場合があります。また、そもそも離婚の成立は経済的にはマイナスです。離婚をしたとしても夫婦の収入は変わりませんが、これまで一世帯で暮らしていた二人が別世帯で暮らすことになるためトータルの生活コストは必ず上昇します。そういった経済的負担の増大を嫌っているというケースもあります。

別居をすることで、あなたの離婚希望に真摯に向き合っていない配偶者に対して、あなたは真剣に離婚を考えているのだということを否応なしに理解してもらうことができます。また、経済的な観点からも、別居をしてしまえば(法的な婚姻関係が残っていることを除けば)生活実態は離婚が成立している状況に近いため、相手方配偶者にとってはそこから離婚を成立させたとしてもそれ以上生活コストが増えるというような状況にはなりません。

このような観点からも、別居は離婚の成立のために有効です。

実際に、令和2年の統計によれば、離婚全体に占める別居期間の構成割合は「別居期間が1年未満」の割合が82.8%となっています。

婚姻費用の負担が相手方配偶者へのプレッシャーとなること

別居をした場合、収入が多い配偶者は少ない方の配偶者に対して婚姻費用(生活費)を支払う義務があります。

婚姻費用の金額は、夫婦の収入状況からある程度客観的に算定することができます。

未成年のお子様の有無や人数によっても変わってきますが、婚姻費用の負担はけして軽いものではなく、多くのケースでは早期の離婚成立へのプレッシャーとなります。

離婚が成立した場合、相手方配偶者は婚姻費用を負担する必要がなくなります(未成年のお子様がいる場合、養育費の支払い義務は残りますが、婚姻費用と比べると婚姻費用の方が高額です)から、相手方配偶者としても、「どうせ離婚が避けられないのであれば、早期に離婚を成立させて婚姻費用の負担をなくした方が経済的にはメリットがある」という判断に流れやすくなるのです。

別居期間1年未満で離婚が成立しているケースが多いのも、このような価値判断が反映されている部分もあると感じます。

なお、反対にあなたが婚姻費用を支払わないといけない側(相手方配偶者よりも収入が多い)場合、婚姻費用の負担が可能かどうかは別居前に十分に検討していただく必要がございます。

長期間の別居は、法律上の離婚原因となること

裁判所に離婚を認めてもらうためには、法律上の「離婚原因」と呼ばれるものが必要となります。典型的には、相手方配偶者に不倫やDVがあるなど、婚姻関係が破綻した責任が相手方配偶者にある場合です。

では、そのような事情がない場合に、裁判所は離婚を認めてくれないのでしょうか? いいえ、長期間の別居は法律上の離婚原因となります。詳細はこちらの記事をご確認ください。

明らかな離婚原因がないかあるとしても証拠が不十分な場合は、長期間の別居の事実を主張することになります。婚姻期間の長短によっても変わりますが、3~5年程度の別居期間が必要となるケースもあります。

離婚原因が曖昧なケースでは、別居をためらっている期間は無駄な時間かもしれません。早期の離婚を成立させるために別居の開始は早い方が良いと言えます。

まとめ

離婚の話し合いを進める前に、別居については必ず検討し別居が可能であれば別居をしてください。当事務所でご依頼をお預かりして対応をさせていただいている件をみても、別居している件は比較的スムーズに離婚が成立している傾向にあります。

弁護士がお手伝いできること

弁護士がお手伝いできること

離婚と、離婚に向けた別居の決心ができた場合、別居開始前に弁護士からアドバイスを受けていただくことをおすすめいたします。

たとえば、着の身着のまま別居をしてしまうと仕事に必要な荷物がまだ家にあるのに、と困ることになります。基本的には、二度と現在の自宅には帰らなくて困らないところまで準備をしてから別居をしていただくべきです。

また、別居前に相手方配偶者の収入状況や財産状況についても可能な限り把握をしておいていただくべきです。

当事務所では、そもそも離婚を進めて大丈夫な状況かどうかというところから、別居前後において気をつけていただくこと、婚姻費用の目安、準備や対応が必要な事柄についてこれまで多くの方にアドバイスをさせていただき、離婚を成立させています。

離婚や別居についてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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