弁護士コラム

戸籍証明書の広域交付制度について

2024.04.26

はじめに

はじめに

婚や離婚、パスポートの申請や相続の場面で戸籍(戸籍謄本、戸籍証明書)の提出を求められることは少なくありません。これまでは戸籍が必要になった場合、本籍地の市区町村の窓口に請求をしなければならず、本籍地が遠隔地の場合には取得に手間がかかっていました。

このような不便を解消するために戸籍法の一部が改正され、2024年(令和6年)3月1日から戸籍の広域交付制度が開始しました

以下では、戸籍の広域交付制度の概要や、利用できる場面についてまとめています。

戸籍の広域交付制度とは?

2024年(令和6年)3月1日から本籍地以外の最寄りの市区町村役場の窓口でも戸籍が請求できるようになりました。

複数の戸籍が必要な手続きを予定している場合でも、1か所の窓口にまとめて請求をすることができます

広域交付制度のポイントと注意点

・戸籍を請求できる人が、最寄りの市区町村の戸籍担当窓口に出向いて請求する必要があります。郵送請求や代理人による請求は認められていません。

・本人の戸籍のみでなく、配偶者や直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)の戸籍も請求できます

・請求の際には、顔写真付きの身分証明書の提示が必要です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどをご用意ください。

戸籍の広域交付制度のメリット

広域交付制度により、必要な戸籍を「最寄りの役所で」、「まとめて」、「一度に」集めることができるようになりました。ご実家のご家族に取得を依頼されていた手間を省けるようになったほか、特に相続の場面においては、被相続人(お亡くなりになった人)の出生から死亡までの戸籍が必要になり、あちこちの役所に個別に請求をしなければならなかった手続きが一度の請求で解決することができるようになりました。これまで手間のかかる作業だった相続人調査がよりスムーズに行えるようになっています。

戸籍の広域交付制度のデメリット

広域交付制度にもいくつかのデメリットがあります。ご利用の際はご留意ください。

兄弟、甥姪の戸籍は請求できません。相続の場面で兄弟などの戸籍が必要になった場合は、これまでどおり個別に請求する必要があります。

・郵送請求や代理人による請求ができません。そのため、請求する人が最寄りの市区町村の窓口に出向く必要があります

・広域交付制度が始まったばかりの本記事の執筆時点では、広域交付制度に利用されているシステムの動作が重く、請求に出向いた当日中に必要な戸籍を全て取り切れないケースがあるようです。全ての戸籍が手に入るとしても、長く待たされてしまうことも想定されますので時間に余裕をもって請求に出向かれることをおすすめいたします

まとめ

まとめ

令和6年4月1日から相続登記の義務化も行われています。これにより、相続によって不動産を取得した相続人は、原則として3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなりました。違反した場合は10万円以下の過料が課されます。

戸籍の広域交付制度により、相続の手続きも行いやすくなりましたが、遺産分割の話し合いがまとまらない場合には、遺産分割調停や審判の対応が必要となり一般の方にはハードルの高い手続きとなることが少なくありません。

当事務所では、揉めない相続のための公正証書遺言の作成や、相続登記の義務化への対応、遺産分割手続きを多数取り扱っています。相続でお悩みの方は、是非一度当事務所の無料法律相談をご利用ください。

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