弁護士コラム

養育費はいつまで払う?「18歳で終わり」ではない?
弁護士が解説する終期の定め方

2025.11.13

はじめに:成人年齢引き下げで混乱?養育費の「終期」問題

はじめに:成人年齢引き下げで混乱?養育費の「終期」問題

離婚に際してお子様の養育費を取り決める際、多くのご夫婦が「金額」については熱心に話し合われますが、「いつまで支払うか(=終期)」については、意外と曖昧なままにしてしまいがちです。

特に、2022年4月に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、「養育費の支払いは、子どもが18歳になったら終わりになるの?」というご質問や、当事者間での認識のズレから生じるトラブルが増えています。

養育費の終期を曖昧に決めてしまうと、将来、子どもが進学などを迎える大切な時期に、両親が再び争うことになりかねません。

この記事では、お子様の未来のためにも知っておくべき、養育費の終期の正しい定め方について、弁護士が分かりやすく解説します。

養育費支払いの原則:「子が自立するまで」

まず大前提として、養育費の支払い義務は、法律上「子どもが未成熟子でなくなるまで」とされています。

未成熟子とは、経済的に自立して生活することができない子どものことを指します。

そして、この「未成熟子」であるかどうかと、法律上の「成人」であるかどうかは、必ずしもイコールではありません。

例えば、18歳で成人になったとしても、高校に在学中であれば、通常は親の扶養が必要な「未成熟子」と判断されます。

結論として、「成人年齢が18歳になったから、養育費の支払いは当然に18歳で終了する」ということにはなりません。

では、具体的にいつまで?家庭裁判所の実務

では、養育費の終期は、具体的にいつと定めるのが一般的なのでしょうか。

当事者間で合意ができない場合、最終的には家庭裁判所が判断することになりますが、その実務(実際の運用)では、成人年齢が引き下げられた後も、依然として「20歳まで」を終期とすることが非常に多いのが実情です。

なぜ「20歳」が多いのか?

高校を卒業し、就職したり、大学や専門学校に進学したりと、多くの子どもが20歳前後で一定の節目を迎えます。

18歳ではまだ高校在学中であることがほとんどであり、経済的な自立には至っていないという社会的な実態を考慮し、明確な区切りとして「20歳」が、一つの合理的な基準として広く採用されているのです。

「大学卒業まで」という決め方が危ない理由

お子様の将来を想い、「大学を卒業するまで、しっかり面倒を見たい」という気持ちから、養育費の終期を「大学卒業まで」と定めるケースが見られます。

一見、子どものためには良い決め方のように思えますが、実はこの不確定な定め方は、将来の紛争の火種となりかねません。

  • 大学院に進学したらどうなるのか?
  • 浪人や留年、休学した場合は?
  • 4年制ではなく6年制の学部(医学部など)に進学したら?
  • 大学を中退した場合は?

 

このように、様々なケースが想定され、その都度「大学卒業とは、具体的にいつを指すのか」という解釈を巡って、元夫婦が再び争うことになってしまいます。

トラブルを防ぐ最善策は「明確な年月」で定めること

将来の紛争を避けるための最も確実な方法は、養育費の終期を誰が読んでも解釈に争いが生じない、「明確な年月」で定めることです。

望ましい定め方の例

  • 基本パターン
    「満20歳に達する月まで」
  • 大学進学を想定する場合
    「満22歳に達した後の最初の3月まで」(この定め方であれば、浪人や留年で卒業が1年遅れたとしても、22歳になる年度の終わりまでは支払いが続くことになり、大学卒業の時期と概ね一致させることができます。)

 

このように、具体的な年齢や年月で区切ることで、将来の解釈を巡る争いを未然に防ぐことができます。

養育費の終期決定を弁護士に相談するメリット

養育費の終期は、離婚協議書や公正証書に記載する、極めて重要な離婚条件の一つです。

弁護士にご相談いただくことで、以下のようなサポートが可能です。

1.最新の実務に沿ったアドバイス

成人年齢引き下げ後の、家庭裁判所の最新の運用状況を踏まえ、あなたのケースに最も適した終期の定め方をアドバイスします。

2.将来の紛争を生まない、明確な合意書の作成

上記で解説したような、将来の争いの芽を摘むための、法的に明確で抜け漏れのない条項を盛り込んだ離婚協議書や公正証書を作成します。

3.相手方との交渉

「終期は20歳とすべき」「大学卒業時まで支払ってほしい」など、当事者間で意見が対立した場合に、あなたの代理人として、法的な根拠に基づき相手方と交渉します。

4.過去の曖昧な取り決めの見直し

もし、過去の離婚時に「成年に達するまで」といった曖昧な取り決めしかしておらず、相手方が18歳での支払終了を主張してきているような場合でも、20歳までの支払いを求める調停を申し立てるなど、法的な対応が可能です。

お子様のためにも、明確で争いのない取り決めを

お子様のためにも、明確で争いのない取り決めを

養育費の終期を明確に定めておくことは、支払う側にとっては将来の見通しを立てやすくし、受け取る側にとっては安定した生活設計を可能にします。それは、何よりもお子様の安定した生活環境を守ることに繋がります。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、離婚に伴う養育費の問題に豊富な経験がございます。

「相手と終期について意見が合わない」「将来揉めないような取り決めをしておきたい」など、養育費に関するお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

初回のご相談は無料です。お子様の未来のために、専門家として最善の解決策を一緒に考えます。

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