弁護士コラム

離婚後、子どもの姓を自分と同じ旧姓に変えるには?
「子の氏の変更許可申立」を弁護士が解説

2025.10.15

はじめに:離婚しても、子どもの姓は自動で変わらない

はじめに:離婚しても、子どもの姓は自動で変わらない

離婚届を提出し、ご自身の姓を婚姻前の旧姓に戻す手続きを終えたお母様。「これで子どもも、自分と同じ姓になる」と、一安心するのは早計です。

 

実は、親が離婚して母親が旧姓に戻ったとしても、お子様の姓(氏)は、自動的には変わりません。法律上、お子様は、離婚前にいた戸籍(多くは父親が筆頭者の戸籍)に残ったままとなり、父親の姓を名乗り続けることになります。

その結果、「母親は田中、子どもは鈴木」というように、親子で姓が異なる状態が生じます。 この状態は、日常生活(学校、病院、各種手続きなど)で不便が生じたり、お子様自身が違和感を覚えたりする原因にもなりかねません。

 

ですがご安心ください。この問題を解決し、お子様の姓を、あなたの姓と同じにするための、正式な法的手続きが用意されています。

この記事では、その「子の氏の変更許可申立」について、具体的な手続きの流れや必要書類、注意点を分かりやすく解説します。

手続きの全体像:「子の氏の変更許可申立」

お子様の姓を、母親の旧姓に変更するためには、家庭裁判所に対して「子の氏の変更許可申立」という手続きを行う必要があります。

これは、「親の都合」で変えるというよりは、「親子で姓が違うことによる不便をなくし、お子様の健全な成長を促すため(子の利益のため)」に行う手続きである、という点がポイントです。

具体的な手続きの流れ

手続きは、主に以下のステップで進みます。

ステップ1:申立てができる人(申立人)

  • お子様が15歳未満の場合:
    親権者である親が、法定代理人として申立てを行います。
  • お子様が15歳以上の場合:
    お子様ご本人が、自らの意思で申立てを行う必要があります。(もちろん、親が手続きをサポートすることは可能です。)

ステップ2:申立てをする場所(申立先)

お子様の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。ご自身の住所地ではない点に注意が必要です。

ステップ3:必要な書類

一般的に、以下の書類が必要となります。

  • 申立書
    家庭裁判所の窓口や、ウェブサイトから入手できます。
  • お子様の戸籍謄本(全部事項証明書)
    お子様の戸籍とあなたの戸籍は別々になっていますが、親であれば子どもの戸籍はいつでも取得することができます。
  • 母親(旧姓に戻った親権者)の戸籍謄本(全部事項証明書)
    離婚の事実や、ご自身が旧姓に戻り、新しい戸籍を作ったことなどが記載されているものが必要です。
  • 収入印紙
    お子様一人につき800円分
  • 郵便切手
    裁判所からの連絡用。金額は各裁判所にご確認ください。

 

※事案によっては、この他の書類の提出を求められる場合もあります。

ステップ4:裁判所の判断

申立て後、裁判所は書類を審査し、氏の変更を許可するかどうかを判断(審判)します。

裁判所が最も重視するのは、「子の利益」です。

離婚後、親権者である母親と暮らすお子様が、母親と同じ姓を名乗ることは、一般的に子の利益にかなうと判断されやすいため、通常、この申立てが却下されることはほとんどありません。

 

※元夫(父親)の同意は不要です
この手続きにおいて、元夫(父親)の同意や許可は、法律上、一切必要ありません。相手方に連絡を取ったり、ハンコをもらったりする必要はなく、あなた(またはお子様)だけで手続きを進めることができます。

ステップ5:許可が下りたら、市区町村役場へ

  • 家庭裁判所から、無事に許可の通知(審判書謄本)が届きます。
  • この審判書謄本を持って、お住まいの市区町村役場へ行きます。
  • 役場で「入籍届」を提出することで、お子様はあなたの新しい戸籍に入り、正式にあなたの姓に変更されます。

裁判所の許可だけでは姓は変わらず、役場への届出が完了して、初めて全ての手続きが終了となる点を覚えておきましょう。

弁護士に依頼するメリット

子の氏の変更許可申立は、ご自身でも行うことが可能な手続きです。しかし、お仕事や育児で忙しい中、慣れない手続きをご自身で行うのは、思った以上に時間と手間がかかるものです。

面倒な書類の収集・作成を代行

本籍地が遠方にある場合の戸籍謄本の取り寄せや、申立書の作成など、煩雑な事務作業を全て弁護士に任せることができます。

裁判所とのやり取りをスムーズに

裁判所からの問い合わせなどにも、弁護士が代理人として的確に対応し、手続きを円滑に進めます。

複雑なケースへの対応

例えば、お子様が一定の年齢で姓の変更にためらいがある場合や、元配偶者から手続きに対する妨害が予想される場合など、法的な問題以外のデリケートな状況についても、適切なアドバイスを提供します。

時間と精神的な負担の軽減

専門家に任せることで、あなたは手続きのストレスから解放され、お子様との新しい生活に集中することができます。

お子様との新しい一歩を、晴れやかな気持ちで

お子様との新しい一歩を、晴れやかな気持ちで

親子で同じ姓を名乗ることは、生活上の利便性だけでなく、家族としての一体感や、お子様の精神的な安定にも繋がる、非常に大切なことです。

手続きは、決して難しいものではありません。離婚後の慌ただしい時期ではありますが、お子様との新しい生活を晴れやかな気持ちでスタートさせるために、この大切な一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、離婚後の様々な法的手続きをサポートしております。「手続きの進め方がよくわからない」「平日に役所や裁判所に行く時間がない」など、お困りのことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

初回のご相談は無料です。私たちが、あなたとお子様の新しい門出を、法的な側面から力強くお手伝いいたします。

050-3529-6256お電話でのお問い合わせ

無料相談受付中初回1時間無料

無料相談

公式LINE