弁護士コラム

【離婚の財産分与】自宅不動産はどう分ける?
名義や持分は関係ない?弁護士が解説

2025.09.25

はじめに:離婚で揉めやすい「自宅」の財産分与

はじめに:離婚で揉めやすい「自宅」の財産分与

離婚を決意したとき、夫婦にとって最も大きな財産であり、そして最も大きな悩みの一つとなるのが、長年住み慣れた「自宅不動産(マイホーム)」をどう分けるか、という問題です。

 

「ローンは夫名義だから、財産は全て夫のもの?」

「家の名義の持分は、夫9割、妻1割。この割合で分けるの?」

 

このように、不動産の名義やローン契約の形式から、財産分与の方法を誤解されている方が非常に多くいらっしゃいます。しかし、法律上の財産分与のルールは、そのように単純ではありません。

安易な自己判断は、本来あなたが受け取れるはずだった権利を失うことにも繋がりかねません。この記事では、離婚における自宅不動産の財産分与の基本的な考え方と、その分け方を決める上で本当に重要な3つのポイントについて、分かりやすく解説します。

財産分与の大原則「2分の1ルール」と、よくある誤解

まず、財産分与の大原則を知っておきましょう。 それは、「婚姻期間中に、夫婦が協力して築き上げた財産(共有財産)は、離婚時に貢献度に応じて公平に分配する」という考え方です。

そして、その貢献度は、特別な事情がない限り、夫婦それぞれ2分の1(50%)とされます。これを「2分の1ルール」といいます。

たとえ夫の収入だけで不動産を購入し、妻が専業主婦であったとしても、妻の家事・育児といった家庭への貢献が、夫が外で働ける基盤を作ったと評価され、貢献度は平等と見なされるのが原則です。

よくある誤解:「名義」や「持分割合」は財産分与に関係ない!

ここで最も重要なポイントは、不動産の登記名義が誰になっているか、あるいは持分割合がどうなっているかは、財産分与の割合を決める上では、原則として全く関係がないということです。

「夫の単独名義だから、財産は全て夫のもの」、「持分が夫9割、妻1割だから、その割合で分ける」これらは、いずれも間違いです。

登記上の名義や持分割合は、あくまで不動産を購入した際の事情を反映したものに過ぎません。離婚の財産分与では、その不動産が「いつ」「誰のお金で」取得された財産なのか、という実質的な観点から判断されます。

自宅の財産分与を決める3つの重要ポイント

では、具体的に自宅不動産をどう分けるかは、以下の3つのポイントを順番に確認していくことで、明らかになります。

ポイント1:取得時期(いつ購入したか?)

婚姻中に購入した場合

夫婦が協力して得たお金で購入した「共有財産」となります。したがって、原則として「2分の1ルール」の対象となります。

婚姻前に、どちらか一方が購入した場合

購入した側の「特有財産」となります。特有財産は、元々その人個人の財産なので、財産分与の対象にはなりません。

ただし、婚姻前に組んだローンを、婚姻期間中に夫婦の収入から返済していた場合、その返済した部分は「共有財産」と見なされ、分与の対象となる可能性があります。

ポイント2:頭金の有無とその原資(誰のお金で払ったか?)

婚姻中に貯めた夫婦のお金から頭金を出した場合

その頭金も「共有財産」の一部です。

どちらか一方の「独身時代の貯金」や、「親からの贈与・相続した遺産」から頭金を出した場合

これは、その人の「特有財産」となります。

この場合、不動産の価値から、まず頭金として拠出した特有財産分を差し引き、残った部分を夫婦の共有財産として2分の1に分ける、という複雑な計算が必要になります。

ポイント3:現在の査定価格(いくらの価値があるか?)

財産分与の基準となる不動産の価値は、購入時の価格ではありません。

離婚時(または別居時)の不動産の時価(査定価格)が基準となります。不動産会社などに査定を依頼し、現在の価値を把握することが不可欠です。

具体的な分け方(財産分与の方法)

上記のポイントを踏まえて、具体的な分け方を決めます。

① 売却して現金で分ける(換価分割)

最も公平でトラブルが少ない方法です。家を売却し、売却代金から住宅ローンの残債や諸経費を差し引いた残額を、夫婦で2分の1ずつ分けます。

② どちらかが住み続け、相手に代償金を支払う(代償分割)

どちらか一方が家に住み続ける場合、家の価値(査定価格からローン残高を引いた額)の半分に相当する「代償金」を、出ていく側に対して支払います。ただし、代償金を支払うための資金力が必要となります。

※オーバーローンの場合

家の価値(査定価格)よりも住宅ローンの残高が多い「オーバーローン」の状態では、不動産に資産価値はなく、財産分与の対象とはなりません。この場合、離婚後もローンをどう返済していくかという、別の問題について話し合う必要があります。

なぜ、不動産の財産分与は弁護士に相談すべきなのか

ここまで見てきたように、自宅不動産の財産分与は、

  • 特有財産と共有財産が混在している場合の複雑な計算
  • 正確な不動産価値の把握
  • 住宅ローンの取り扱い
  • 感情的な対立の発生

 

など、当事者だけで解決するには、あまりにも多くの難しい問題が絡み合います。
弁護士にご相談いただければ、

  • あなたの状況を法的に分析し、正当な財産分与額がいくらになるかを正確に算出します。
  • あなたの代理人として、相手方と冷静かつ有利に交渉を進めます。
  • 提携する不動産会社や不動産鑑定士と連携し、正確な不動産査定や、売却活動をスムーズに進めます。
  • 住宅ローンの借り換えや名義変更など、金融機関とのやりとりについてもサポートします。
  • 合意した内容を、将来のトラブルを防ぐための法的に有効な書面(離婚協議書・公正証書)として作成します。

大切な財産だからこそ、専門家にご相談を

大切な財産だからこそ、専門家にご相談を

ご自宅は、単なる資産であるだけでなく、ご家族の思い出が詰まった大切な場所です。

その大切な財産を、感情的な対立や知識不足から不公平な形で手放すことのないよう、財産分与の話が出た際には、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、不動産が絡む複雑な離婚・財産分与の問題を数多く解決してまいりました。

初回のご相談は無料です。あなたの正当な権利を守り、新たな人生への第一歩をスムーズに踏み出すために、私たちが全力でサポートいたします。

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