はじめに:突然の慰謝料請求、どうすれば…

「不倫相手の配偶者から、突然、高額な慰謝料を請求する内容証明郵便が届いた…」
「不倫の事実を問い詰められ、その場で慰謝料を支払うよう要求された…」
もしあなたが不倫(不貞行為)に関与し、その不倫相手の配偶者や、あるいはご自身の配偶者から慰謝料を請求された場合、大きな衝撃と不安、そして「どう対応すればよいのか」という焦りを感じることでしょう。
このような時、感情的に対応したり、安易に相手の要求に応じたり、逆に無視したりすることは、事態をさらに悪化させる可能性があります。
請求を受けた側には、ご自身の権利を守り、不当に大きな負担を負わないために、そして問題を法的にきちんと解決するために、冷静かつ戦略的な対応が求められます。
この記事では、不倫の慰謝料を請求された場合に、特に重要となる2つの対応、「①慰謝料の減額交渉を行うこと」と「②支払いをする場合でも必ず示談書(合意書)を作成すること」、そしてこれらの対応に弁護士のサポートがいかに不可欠であるかを解説します。
やってはいけないNG対応
まず、慰謝料請求を受けた際に避けるべき行動を理解しておきましょう。
- 無視する
最も危険な対応です。相手方は「支払いや話し合いの意思がない」と判断し、訴訟などの法的手段に移行する可能性が高まります。 - 感情的に反論・謝罪する
直接相手方と連絡を取り、感情的に反論したり、逆に不必要に全てを認めてしまったりすると、不用意な発言が後で不利な証拠となることがあります。 - 言われるがままに支払う
請求された金額が法的に見て妥当とは限りません。相手の感情的な要求にそのまま応じると、過大な金額を支払うことになるリスクがあります。 - 口約束だけで済ませる
たとえ話し合いで金額が決まっても、書面(示談書)を作成しないと、後で「そんな約束はしていない」「もっと支払え」と再び請求される危険性があります。
対応1:慰謝料の「減額交渉」を行う
相手方から提示された慰謝料額が、必ずしも法的に妥当な金額であるとは限りません。多くの場合、最初に請求される金額は、相手方の感情も反映され、法的な相場よりも高額になっているケースが多く見られます。
慰謝料の金額は、法律で一律に決まっているわけではなく、以下のような様々な事情を総合的に考慮して算定されます。
- 不貞行為の期間、頻度、態様
- 不貞行為が原因で、相手方夫婦の婚姻関係が破綻したか(離婚に至ったか、別居したかなど)
- 相手方夫婦に未成年の子がいるか
- 不貞行為発覚後の対応(謝罪の有無、真摯な態度など)
- 請求者の精神的苦痛の程度
- あなたの支払い能力(資力)
- 相手方夫婦の婚姻期間や、それ以前からの夫婦関係の状況(例えば、不貞行為以前から夫婦関係が悪化していた、など)
これらの事情の中には、あなたにとって有利に働き、慰謝料の減額を主張できる要素が含まれている可能性があります。
例えば、「不貞行為の期間が短い」「相手方夫婦は離婚も別居もしていない」「不貞行為前から夫婦関係は冷え切っていた」といった事情です。
このような減額事由を的確に主張し、法的な根拠に基づいて交渉することで、実際に支払う慰謝料額を大幅に減額できるケースは少なくありません。
対応2:支払う場合でも、必ず「示談書(合意書)」を作成する
たとえ減額交渉が成功し、支払うべき慰謝料の金額が決まったとしても、それで終わりではありません。
必ず、合意した内容を書面、すなわち「示談書(じだんしょ)」または「合意書(ごういしょ)」として作成し、当事者双方が署名・押印することが極めて重要です。
示談書を作成する主な目的は以下の通りです。
- 合意内容の明確化
誰が誰に対し、いつ、いくらを、どのように支払うのか、といった合意内容を明確に記録します。 - 後日の紛争の蒸し返し防止
示談書には通常、「本示談書に定めるほか、甲乙間には何らの債権債務も存在しないことを相互に確認する」といった清算条項(せいさんじょうこう)を入れます。
これにより、一度解決した問題について、後から追加で請求されたり、別の名目で金銭を要求されたりすることを法的に防ぐことができます。 - その他の条件の明記
必要に応じて、「今後お互いに接触しない(接触禁止条項)」「口外しない(守秘義務条項)」などの条件を盛り込むことも可能です。
口約束や、単にお金を振り込んだだけでは、「そんな約束はしていない」「あれは慰謝料の一部だ」などと後から言われてしまうリスクが残り、紛争が再燃する可能性があります。
これらの対応に弁護士が介入することが望ましい理由
慰謝料の減額交渉や、法的に有効な示談書の作成は、法律の専門知識と交渉経験が不可欠です。弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
1.請求額の妥当性の客観的な判断
あなたの具体的な状況(不貞行為の内容、相手方夫婦の状況など)を法的に分析し、請求されている慰謝料額が法的な相場と比べて妥当なのか、減額の余地はどれくらいあるのかを客観的に判断します。
2.専門家による有利な減額交渉
弁護士は、あなたの代理人として、相手方(またはその代理人弁護士)と冷静かつ論理的に交渉します。
法的な根拠に基づき減額事由を的確に主張し、感情的な対立を避けながら、可能な限りの減額を目指します。
3.法的に有効で、将来の紛争を防ぐ示談書の作成
示談が成立した場合、弁護士は、あなたに不利な条項が含まれていないか、将来のトラブルを確実に防ぐための清算条項などが適切に盛り込まれているかなど、細心の注意を払って示談書を作成またはチェックします。
4.精神的な負担の大幅な軽減
慰謝料請求という精神的に大きなストレスのかかる状況で、相手方との直接のやり取りや、複雑な交渉を全て弁護士に任せることができます。
これにより、あなたは精神的な負担から解放され、冷静に対応できます。
5.事態の悪化や不利益な合意の回避
ご自身で対応した場合に陥りがちな、不用意な発言による立場悪化や、不利な条件での安易な合意といったリスクを避けることができます。
弁護士に依頼した場合の一般的な流れ
- ご相談:事実関係、相手方からの請求内容、あなたのご希望などを詳しく伺います。
- 方針決定:請求額の妥当性、減額の可能性、交渉方針などを検討し、ご提案します。
- 相手方との交渉:弁護士があなたの代理人として、相手方(またはその代理人弁護士)と交渉を開始します。
- 示談書の作成・締結:交渉がまとまれば、示談書を作成し、双方で署名・押印します。
- 示談金の支払い:合意した内容に従い、示談金を支払います。支払いについても弁護士がサポートします。
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支払いが可能な請求金額であっても、示談書を作成することなく支払いだけで終わらせることは避けるべきです。また、弁護士にご相談をいただくことで、減額交渉の可能性を判断することができます。
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