はじめに:弁護士からの手紙、慌てずに冷静に対応を

ある日突然、弁護士事務所の名前で「受任通知書」や「内容証明郵便」が届いたら、多くの方は驚き、不安に感じることでしょう。
「何か大変なことになったのでは…」「どう対応すればいいのだろう…」と、気が動転してしまうかもしれません。
しかし、このような時こそ、まず冷静になることが大切です。そして、絶対にやってはいけないのが「無視」すること。
弁護士からの通知書は、相手方が何らかの法的な意思表示をしてきている証拠であり、適切に対応しなければ、ご自身の立場が不利になる可能性があります。
この記事では、弁護士から受任通知書(内容証明郵便)が届いた場合に、まず何をすべきか、そしてなぜご自身の弁護士に相談することが重要なのかを、分かりやすく解説します。
弁護士からの「受任通知書」「内容証明郵便」とは?
弁護士から送られてくる「受任通知書」や「催告書」といった書面は、その弁護士が依頼者(相手方)の代理人として、あなたに対して何らかの要求や主張を伝えてきているものです。
例えば、以下のような内容が考えられます。
- 未払金の支払い請求(貸金、売掛金、家賃など)
- 不貞行為(不倫)の慰謝料請求
- 離婚の申し入れや条件提示
- 契約解除の通知
- 迷惑行為の差止め要求 など
特に「内容証明郵便」で送られてきた場合、それは「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出されたか」を郵便局が証明してくれるものであり、相手方がその主張を後日の証拠として残そうとしている、つまり、法的な手続き(調停や訴訟など)も視野に入れている可能性が高いことを示唆しています。
ただし、書かれている内容が全て法的に正しいとは限りませんし、要求されている金額が妥当とは限りません。重要なのは、その通知に対して誠実かつ適切に対応することです。
なぜ「無視」が最も危険なのか?
弁護士からの通知書を無視すると、以下のような不利益が生じる可能性があります。
相手方の態度が硬化する
「話し合いの意思がない」と見なされ、交渉の余地なく、すぐに訴訟などの強硬な手段に移られる可能性があります。
不利な状況証拠となることも
裁判になった場合、「通知を送ったのに応答がなかった」という事実が、あなたにとって不利な心証を裁判官に対して与えることがあります。
反論の機会を失う
あなたの側にも言い分があるにもかかわらず、それを伝える機会を失ってしまいます。
遅延損害金などが加算される
金銭請求の場合、対応が遅れることで遅延損害金がさらに膨らむこともあります。
無視は、事態を悪化させるだけで、何も解決しません。
こんな対応はNG!やってはいけないこと
感情的に反論する
驚きや怒りから、相手方の弁護士や相手本人に直接感情的な電話をしたり、反論文を送ったりすることは避けましょう。不用意な発言が、かえってご自身の立場を悪くすることがあります。
安易に相手の要求に応じる
「早く解決したいから」と、内容をよく検討せずに相手の要求を全面的に受け入れてしまうと、法外な金額を支払うことになったり、不当な条件をのまされたりする危険性があります。
自分で相手本人と直接交渉しようとする
相手が弁護士を立てている場合、交渉窓口はその弁護士になります。相手本人に直接連絡を取っても、弁護士を通すように言われるか、感情的な対立を深めるだけになることが多いです。
弁護士からの通知書が届いたら、まずやるべきこと
では、実際に通知書が届いたら、どのように対応すればよいのでしょうか。
1.まずは冷静に内容を確認する
誰から、どのような内容で、何を要求されているのか、書面を隅々までよく読みましょう。特に、回答期限や支払期限が設定されていないか確認してください。
2.書類・封筒は全て保管する
通知書だけでなく、送られてきた封筒も大切に保管してください。消印などが後で重要な証拠となる場合があります。
3.回答期限に注意する(ただし焦りは禁物)
回答期限が設けられている場合、それを過ぎると相手が次の法的措置に進む可能性があります。しかし、期限が迫っているからといって、焦ってご自身だけで対応するのは危険です。
4.【最重要】すぐに「ご自身の」弁護士に相談する
これが最も重要かつ正しい対応です。相手方の弁護士は、あくまで相手方の味方です。
あなたの権利と利益を守るためには、あなた自身の弁護士に相談し、代理人として対応してもらう必要があります。
あなたの弁護士に相談する5つのメリット
弁護士から通知書が届いた際に、ご自身の弁護士に相談・依頼することには、以下のような大きなメリットがあります。
1.法的な状況と相手の意図がわかる
弁護士は、通知書の内容を法的に分析し、相手方の主張の妥当性、法的な根拠、そしてその通知が持つ意味(本気度、次の狙いなど)を正確に読み解きます。
2.最適な対応策を一緒に考えられる
あなたの言い分や状況を丁寧に聞き取り、請求に応じるべきか、反論すべきか、交渉すべきか、あるいは訴訟も覚悟すべきかなど、専門的な知識と経験に基づいて最善の対応方針を一緒に検討します。
3.あなたに代わって相手方と交渉してくれる
弁護士があなたの代理人として、相手方弁護士と冷静かつ対等に交渉します。
これにより、あなたが直接矢面に立つ必要がなくなり、精神的な負担が大幅に軽減されます。
4.不利な言動や合意を防げる
ご自身で対応すると、つい感情的になったり、法的に不利な発言をしてしまったり、不当な条件で合意してしまったりするリスクがあります。弁護士は、そのような事態を防ぎ、あなたの権利を守ります。
5.精神的な安心感が得られる
法律の専門家が味方になり、問題解決に向けて具体的に動いてくれるという事実は、大きな安心感につながります。
「どうすればいいかわからない」という不安な状態から解放されます。
弁護士に依頼した場合の一般的な対応例
ご依頼いただいた場合、当事務所では以下のような流れで対応することが一般的です。
- 通知書の内容とあなたの主張を検討し、法的見解を説明
- 相手方弁護士に対し、弁護士が代理人となった旨を通知(受任通知)
- 必要に応じて、相手方の主張に対する反論や、こちらの主張を記載した回答書を作成・送付
- 相手方弁護士と交渉を開始し、和解による解決を目指す
- 交渉がまとまれば、法的に有効な合意書(示談書・和解契約書など)を作成
- 交渉がまとまらない場合は、調停や訴訟などの法的手続きへの対応を検討
弁護士からの通知は、問題解決の「始まり」の合図かもしれません

弁護士から通知書が届くということは、相手が何らかの不満や要求を抱え、それを法的な手段も辞さない構えで伝えようとしている、ということです。
それは決して無視してよいものではありませんが、同時に、問題を法的なテーブルに乗せて話し合いで解決する「始まり」の合図と捉えることもできます。
ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域の皆様からのご相談を承っております。万が一、弁護士から通知書が届き、どう対応すればよいかお困りの際は、決して一人で悩まず、抱え込まず、できる限り早く当事務所にご相談ください。
内容を拝見し、今後の最適な対応策を一緒に考え、あなたの正当な権利と平穏な生活を守るために、全力でサポートいたします。初回のご相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。