弁護士コラム

遺言書がない!相続はどう進める?
弁護士が解説する円満な遺産分割の手続きとポイント

2025.06.02

はじめに:遺言書がない場合の相続、どうすればいい?

はじめに:遺言書がない場合の相続、どうすればいい?

大切なご家族が亡くなられた後、悲しみに暮れる間もなく直面するのが「相続」の問題です。故人が遺言書を残していれば、原則としてその内容に従って遺産が分けられますが、遺言書がない場合は、法律で定められた相続人(法定相続人)全員で、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合って決める必要があります。これを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」といいます。

しかし、この遺産分割協議は、相続人それぞれの思いや利害が絡み合い、スムーズに進まないことも少なくありません。場合によっては、親族間で深刻な対立(いわゆる「争族」)に発展してしまうケースも見受けられます。

この記事では、遺言書がない場合の相続手続きの基本的な流れと、円満な解決のために知っておくべきポイント、そして弁護士に相談・依頼することの重要性について分かりやすく解説します。

遺産分割の基本的な流れ

遺言書がない場合、一般的に以下のステップで遺産分割を進めます。

ステップ1:相続人の確定

  • まず、誰が法律上の相続人(法定相続人)なのかを正確に確定する必要があります。
  • 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本などを含む)や、相続人全員の現在の戸籍謄本などを収集し、相続関係を明らかにします。
  • 前妻(夫)との間に子がいる場合や、養子縁組、認知した子がいる場合など、家族関係が複雑な場合は特に慎重な調査が必要です。

ステップ2:相続財産の調査と評価

  • 次に、故人がどのような財産(プラスの財産)を残し、どのような債務(マイナスの財産)を負っていたのか、全ての相続財産を調査し、その内容と評価額を確定します。
    プラスの財産 :不動産(土地・建物)、預貯金、株式・投資信託、自動車、貴金属など。
    マイナスの財産:借金、未払いの税金、保証債務など。
  • 不動産や非上場株式などは、適正な時価評価が必要になります。

ステップ3:遺産分割協議(相続人全員での話し合い)

  • 相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で、どのように遺産を分けるかについて話し合います。これが遺産分割協議です。
  • 法律で定められた相続割合(法定相続分)はありますが、相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で分けることも可能です。
分割方法の例
  • 現物分割: 不動産は長男に、預貯金は長女に、というように現物をそのまま分ける方法。
  • 代償分割: 特定の相続人が不動産など特定の財産を相続する代わりに、他の相続人に金銭(代償金)を支払う方法。
  • 換価分割: 不動産などを売却して現金に換え、その現金を相続分に応じて分ける方法。
  • 共有分割: 一つの財産を複数の相続人で共有する方法(不動産の場合は後のトラブルを避けるため推奨されないことが多いです)。

ステップ4:遺産分割協議書の作成

  • 相続人全員の合意がまとまったら、その内容を明確にするために「遺産分割協議書」という書面を作成します。
  • この協議書には、相続人全員が署名し、実印を押印し、印鑑証明書を添付するのが一般的です。
  • 遺産分割協議書は、不動産の相続登記(名義変更)や預貯金の解約・名義変更などの相続手続きを行う際に必要不可欠な書類となります。

ステップ5:相続手続きの実行

遺産分割協議書に基づき、不動産の名義変更、預貯金の解約・分配、株式の名義変更などの具体的な手続きを行います。

話し合いがまとまらない場合は?
- 家庭裁判所での調停・審判 -

相続人間でどうしても意見がまとまらず、遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。

調停では、調停委員(裁判官と民間の有識者)が間に入り、各相続人の主張を聞きながら、話し合いによる解決を目指します。

調停でも合意に至らない場合は、自動的に「遺産分割審判」という手続きに移行し、最終的には裁判官が一切の事情を考慮して、遺産の分割方法を決定(審判)します。

遺産分割が「争族」になりやすいケース

  • 相続財産に不動産が多く、公平に分けにくい。
  • 特定の相続人が故人の生前に多額の援助(生前贈与)を受けていた。
  • 特定の相続人が故人の介護を一身に担っていた(寄与分)。
  • 相続人同士の人間関係が元々良くない。
  • 相続財産の全体像が不明確で、不信感がある。

このような事情が絡むと、感情的な対立も生まれやすく、話し合いが難航しがちです。

弁護士に遺産分割を依頼するメリット

遺産分割協議は、法律知識だけでなく、感情的な調整も必要となる複雑なプロセスです。弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットが期待できます。

1.相続人と相続財産の正確な調査・把握

戸籍の収集による相続人の確定や、不動産・預貯金・株式などの財産調査を代行し、正確な財産目録を作成します。

相手方が財産を隠している可能性がある場合も、法的な手段(弁護士会照会など)を用いて調査を進めます。

2.公平で円滑な遺産分割協議の実現

弁護士があなたの代理人として、他の相続人と冷静かつ論理的に交渉します。

感情的な対立を避け、法的な観点からあなたの正当な権利を主張し、公平な分割案を提示することで、円満な合意形成をサポートします。

3.法的に有効な遺産分割協議書の作成

合意内容を法的に正確かつ明確な形で遺産分割協議書にまとめます

これにより、後日の「言った言わない」といったトラブルや、手続きの不備を防ぎます。

4.紛争発生時の調停・審判への適切な対応

話し合いで解決できない場合、遺産分割調停や審判の手続きを代理人として進めます

法廷での主張・立証活動を適切に行い、あなたの利益を守ります。

5.将来の「争族」の火種を残さない

専門家が関与し、全ての相続人が納得する形で遺産分割を終えることで、将来にわたる親族間の紛争の芽を摘むことができます。

6.精神的な負担の軽減と冷静な判断のサポート

相続問題は精神的に大きな負担を伴います。弁護士に煩雑な手続きや困難な交渉を任せることで、あなたは精神的な負担から解放され、冷静な判断を保つことができます。

弁護士に依頼した場合の一般的な流れ

  • ご相談家族関係、相続財産の状況、あなたの希望などを詳しく伺います。
  • 調査・準備:戸籍収集、財産調査、財産評価などを行います。
  • 交渉・協議:他の相続人との間で、遺産分割協議を進めます。
  • 遺産分割協議書の作成:合意内容に基づき、協議書を作成します。
  • 調停・審判(必要な場合):家庭裁判所での手続きを代理します。
  • 相続手続きの実行サポート:不動産登記や預貯金解約などの手続きについてアドバイス・サポートします。

円満な相続のために、まずはルーセント法律事務所にご相談を

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遺言書がない場合の遺産分割は、誰にとっても初めての経験が多く、戸惑いや不安を感じるものです。相続人間の感情的な対立が深まる前に、また、複雑な手続きで途方に暮れてしまう前に、相続問題に詳しい専門家である弁護士に相談することが、円満かつ適正な解決への最も確実な道です。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域の皆様の相続に関するお悩みに、親身に対応してまいりました。遺産分割協議の進め方、相続財産の調査、他の相続人との交渉など、あらゆる段階であなたをサポートいたします。

「何から手を付けていいかわからない」「他の相続人と話がまとまらない」「自分の取り分が適正なのか知りたい」など、どんなことでも結構です。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

円満な遺産分割を実現し、あなたが新たな一歩を踏み出すためのお手伝いをさせていただきます。

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