弁護士コラム

「争族」を防ぐために!
弁護士が解説する遺言書作成のすすめとポイント

2025.05.21

はじめに:なぜ遺言書が必要なのでしょうか?

はじめに:なぜ遺言書が必要なのでしょうか?

「自分には大した財産はないから遺言書なんて必要ない」

「家族仲が良いから、自分が亡くなった後も揉めるはずがない」

そのようにお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、遺言書は、単に財産が多い方だけのものではありません。

ご自身の最後の意思を明確に残し、大切なご家族が円満に相続手続きを進められるようにするため、そして何よりも、ご家族間で無用な争い(いわゆる「争族」)が起こるのを防ぐために、非常に重要な役割を果たします。

遺言書がない場合、法律で定められた相続人(法定相続人)が、法律で定められた割合(法定相続分)で財産を分けることになります。

しかし、それが必ずしもご自身の希望通りとは限りませんし、不動産など分けにくい財産がある場合や、特定の相続人に多く残したい、あるいは法定相続人以外の人(お世話になった方など)にも財産を残したいといった場合には、遺言書が不可欠となります。

遺言書でできること(主な内容)

遺言書では、主に以下のようなことを定めることができます。

  • 財産の分配方法の指定

誰に、どの財産を、どれだけ相続させるかを具体的に指定できます。

  • 遺言執行者の指定

ご自身の死後、遺言の内容を実現するための手続きを行う人(遺言執行者)を指定できます。

  • 子の認知

婚姻関係にない男女間に生まれた子を、自分の子として法的に認めることができます。

  • 相続人の廃除・廃除の取消し

特定の相続人に著しい非行があった場合に、その相続人の相続権を奪う(または一度奪った権利を回復させる)手続きを家庭裁判所に求める意思を示すことができます。

  • 寄付

特定の団体や法人に財産を寄付することができます。

  • その他

付言事項として、ご家族への感謝の気持ちや、葬儀・納骨に関する希望などを記すこともできます(ただし、法的拘束力はありません)。

主な遺言書の種類と特徴

法律で定められた遺言書の方式にはいくつかありますが、代表的なものは以下の2つです。

1.自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

作成方法

遺言者本人が、全文、日付、氏名を自筆で書き、押印して作成します。

メリット

費用がかからず、いつでも手軽に作成できます。証人も不要です。

デメリット
  • 方式不備で無効になるリスクが高い(パソコン作成や代筆は不可、日付や押印漏れなど)。
  • 紛失、改ざん、隠匿のおそれがあります。
  • 遺言者の死後、家庭裁判所による「検認(けんにん)」という手続きが必要になります。

法改正により、財産目録についてはパソコン等で作成したものを添付できるようになりましたが、その目録の各ページに署名押印が必要です。

2.公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

作成方法

遺言者が公証役場に出向き、2人以上の証人の立会いのもと、公証人に遺言の内容を口授し、公証人がそれを筆記して作成します。

メリット
  • 公証人が関与するため、方式不備で無効になるリスクが極めて低いです。
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失、改ざん、隠匿のおそれがありません。
  • 遺言者の死後、家庭裁判所の「検認」手続きが不要で、スムーズに相続手続きを開始できます。
デメリット

作成に費用(公証人手数料)と手間がかかります。証人が2人必要です。

(※この他に「秘密証書遺言」という方式もありますが、利用されるケースは比較的少ないです。)

自分で作成する際の注意点・落とし穴

特に自筆証書遺言を自分で作成する場合、以下のような点に注意しないと、せっかく書いた遺言書が無効になったり、かえって紛争の種になったりすることがあります。

  • 方式の不備

日付がない、押印がない、全文自筆でないなど、法律で定められた方式を守らないと遺言は無効になります。

  • 内容の不明確さ

どの財産を誰に相続させるのかが曖昧だと、解釈を巡って相続人間で争いが生じます。

  • 遺留分(いりゅうぶん)への配慮不足

配偶者や子、親(直系尊属)など一部の法定相続人には、遺言によっても侵害されない最低限の相続分(遺留分)が保障されています。遺留分を無視した内容の遺言は、後に遺留分侵害額請求という形で紛争を引き起こす可能性があります。

  • 遺言能力の有無

認知症などで判断能力が低下している状態で作成された遺言は、後から有効性が争われることがあります。

弁護士に遺言書作成を依頼するメリット

こうしたリスクを避け、ご自身の意思を確実に実現し、残されるご家族の負担を軽減するためには、遺言書の作成段階から弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

1.法的に有効で、あなたの想いを正確に反映した遺言書を作成できる

弁護士は、法律の専門家として、方式不備で無効になることのない、法的に万全な遺言書の作成をサポートします。

また、あなたの「誰に何をどれだけ残したいか」という真意を正確に汲み取り、それを法的に明確な言葉で表現することで、解釈の余地のない、誤解の生じない遺言書を作成します。

2.「遺留分」に配慮し、将来の紛争を最大限予防できる【最重要】

弁護士は、遺留分の問題を事前に考慮し、遺留分を侵害する可能性のある内容についてはそのリスクを説明し、どのようにすれば相続人間の紛争を避けられるか、具体的な対策を提案することができます。

これは、円満な相続を実現する上で極めて重要です。

3.複雑な財産や家族関係にも対応できる

不動産が多数ある、自社株がある、再婚していて前妻の子と後妻の子がいるなど、財産状況や家族関係が複雑な場合でも、それぞれの状況に合わせた最適な遺言内容を設計します。

4.最適な遺言方式のアドバイスを受けられる

自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが良いか、それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、あなたの状況や希望に最も適した方式をアドバイスします。公正証書遺言を作成する場合は、公証役場とのやり取りや証人の手配などもサポートします。

5.遺言執行者の指定やサポートも万全

信頼できる弁護士を遺言執行者に指定したり、ご家族が遺言執行者になる場合にその業務を法的にサポートしたりすることも可能です。

6.精神的な安心感が得られる

「これで自分の意思は確実に伝わる」「家族が揉めることはないだろう」という精神的な安心感を得られることは、何より大きなメリットと言えるでしょう。

弁護士に依頼した場合の流れ(例)

  • ご相談
    あなたの家族構成、財産状況、遺言で実現したいことなどを詳しく伺います。
  • 財産調査・資料収集
    必要に応じて、不動産の登記情報や預貯金、有価証券などの資料収集をお手伝いします。
  • 遺言内容の検討・設計
    遺留分などに配慮しながら、あなたの意思を実現するための最適な遺言内容を一緒に検討し、設計します。
  • 遺言書文案の作成
    弁護士が法的に正確な遺言書の文案を作成します。
  • 内容確認・修正
    文案をご確認いただき、修正点があれば対応します。
  • 遺言書の完成
    ・自筆証書遺言の場合:作成方法を具体的に指導します。
    ・公正証書遺言の場合:公証役場での手続きをサポートし、証人として立ち会うことも可能です。

円満な相続のために、ルーセント法律事務所へご相談を

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遺言書は、残されるご家族への最後のメッセージであり、愛情の証です。

ご自身の想いを確実に伝え、ご家族が「争族」で心を痛めることのないよう、元気なうちに、法的に不備のない、そしてあなたの意思が明確に反映された遺言書を作成しておくことを強くお勧めします。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域の皆様の相続・遺言に関するお悩みに、親身に対応しております。

「何から始めたらいいかわからない」「自分の場合はどんな遺言がいいのか」など、どんな些細なことでも結構です。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

あなたの想いを形にし、円満な未来へとつなぐお手伝いをさせていただきます。

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