ご自身やご家族が逮捕されたあと、警察など捜査機関から「再逮捕を予定している」と言われる場合や、依頼している弁護人から「再逮捕される可能性がある」という見通しが示されることがあります。
再逮捕とは何なのか、再逮捕されると報道されてしまうのかということや刑罰の加重について以下で解説します。
再逮捕とは
再逮捕とは、捜査機関が一度逮捕した人を、釈放した直後や勾留期間経過後にもう1度逮捕することです。
法律(刑事訴訟法)上想定されている再逮捕は、捜査機関が「同じ事件」で被疑者を改めて逮捕することです。
ただし、逮捕や勾留が被疑者の社会生活に与える影響が大きいことに鑑みて、「同じ事件」での再逮捕は原則としてできないことになっています。
例外的に「同じ事件」での再逮捕ができるのは、最初の逮捕手続に重大なミスがあり、「いったん釈放をした上で、あらためて正しい手続で逮捕する」というような特殊な場合です。
そのため、一度釈放された場合、「同じ事件」でまた逮捕されてしまう(再逮捕)ということはご心配いただく必要がありません。
とはいえ、ニュースや報道で「再逮捕」という言葉を聞くことは珍しくありません。捜査機関や弁護人が再逮捕の可能性を示唆することもあります。
この再逮捕は、「同じ事件」での再逮捕ではなく、罪名や被疑事実の異なる「別の事件」での再逮捕です。
実務上問題となるのは、ほとんど全てがこの「別の事件」での再逮捕です。
以下では、こちらの「別の事件」での再逮捕を取り上げていますのでご注意ください。
再逮捕は、何回までできるのか
再逮捕は、今逮捕されている事件と別の事件であれば、裁判所が逮捕状を発付する限り何回でも可能です。
再逮捕が行われるケースにはいくつかのパターンがあります。
一つ目は、複数の詐欺事件や窃盗事件を犯していた場合など「余罪がある」場合です。
犯罪は、被害者や事件の数だけ成立するため、Aさんを被害者とする事件について逮捕されたあと、別のBさんを被害者とする事件で再逮捕されるということは十分に想定されます。
ほかにも、殺人事件のような重大犯罪については、死体遺棄罪で逮捕したあと警察が取り調べや捜査を進め、証拠が揃った段階で殺人罪で逮捕するということもあります。
一つの逮捕と勾留で身柄を拘束することができる期間は、逮捕の72時間と勾留の20日間を合計した23日間までですが、再逮捕が行われた場合には23日間を超えて身柄拘束が続くことになります。
余罪があり再逮捕が行われる場合も、余罪の全てについて必ず再逮捕されるわけではありませんが、2回、3回と再逮捕が繰り返されることはけして稀ではありません。
再逮捕は、ニュースで報道されるのか
一般的には、刑事事件が最も報道されやすいのは最初の逮捕直後です。再逮捕のときにも報道されるかどうかは事件の内容次第です。
最初の逮捕直後に報道された場合、再逮捕があったことをあらためて報道されるケースはほとんどありません。
もっとも、児童買春や児童ポルノ、不同意性交等罪などの性犯罪やその他重大犯罪で再逮捕された場合、被疑者の職業や事件の内容によっては再逮捕についてもあらためてニュースになるケースも増えてきています。
再逮捕されると刑罰が重くなるのか
再逮捕されると、刑罰はどれくらい重くなるでしょうか。先に逮捕された事件との関係を踏まえながら解説します。
先に逮捕された事件で不起訴だった場合
先に逮捕されていた事件において、示談が成立するなどして不起訴が獲得できた場合であっても、再逮捕は別の被害者との間に起きた別の事件であり、別個に処分が行われます。
先に逮捕されていた事件で不起訴となっても、再逮捕の件でも不起訴になるわけではありません。このような場合には、先の事件と後の事件は別物と考える必要があり、事件ごとに示談や不起訴を目指した対応が必要となります。
先の事件が不起訴になっているという事情は、後の事件に有利にも不利にも働きません。
先に逮捕された事件でも起訴された場合
先に逮捕された事件で起訴され、再逮捕された事件でも起訴されれば、併合罪として処理されることになります。併合罪の場合、重い方の刑の長期を1.5倍に加重したものが処断刑となり、その範囲で処罰されます。
有期刑の長期が伸びることにより、執行猶予をつけることができなくなってしまう場合も想定されます。
再逮捕された場合でも不起訴や刑の軽減を目指すために
再逮捕があったケースでも、事件を不起訴とすることや刑罰を少しでも軽くするため、刑事事件を得意とする弁護士への依頼は欠かせません。
刑事事件を取り扱う弁護人にとって、再逮捕は突然の出来事ではありません。被疑者の方との接見や捜査機関とのやりとりを通じて、再逮捕される可能性があることや再逮捕が不可避であることは多くのケースで事前にわかります。
再逮捕が予想される場合、弁護人の対応も再逮捕を意識して進める必要があります。たとえば、弁護人は通常、被疑者の方の早期の身柄開放に向けて対応を行いますが、保釈保証金を支払い保釈したとしても、再逮捕が予定されている場合は警察署を出たときに再逮捕されてしまいます。そのような場合、改めて保釈をしようとすると、もう一度保釈保証金の支払いが必要になってしまいます。そのため、再逮捕が予定されている場合には、保釈請求を遅らせて再逮捕が全て終わったあとに保釈請求を行う必要があります。
ルーセント法律事務所では、次のようなサポートで不起訴や刑の軽減を目指します。
- 日々の取り調べに対するアドバイス
- 余罪についての相談や方針決定
- 被害者との示談交渉
- 早期の身柄解放に向けた手続き
- 刑事裁判で充実した弁論を行うための準備や証拠収集
など
まとめ
多数の余罪がある場合や重大犯罪の場合、再逮捕のリスクがつきまといます。
刑事弁護に精通した弁護士が弁護人として関与することで、再逮捕の可能性があるのかどうか事前にわかり、再逮捕を避けるために活動できるほか、事件全体の早期解決を目指すことができます。
ご本人様が逮捕されている場合は、ご家族の方からのご相談をいただくことも可能です。当事務所では、初回無料相談を実施しておりますので、刑事事件でお困りの場合は、お気軽に当事務所にご相談ください。(お問い合わせはこちら)