弁護士コラム

交通事故の慰謝料基準について

2024.11.22

はじめに

はじめに

「保険会社から提示された示談金の金額が適切なのかどうかわからない」

「慰謝料の算定には複数の基準があると聞いたことがある」

「適切な損害賠償を支払ってもらい解決としたい」

上記のように、交通事故の損害賠償や慰謝料についてお困りの方や弁護士への依頼を検討されている方向けに、以下では交通事故の慰謝料についてわかりやすく解説していきます。

損害賠償の基準について

交通事故の被害に遭われた場合、入通院日数に応じた慰謝料や後遺障害の慰謝料を受け取ることができます。
慰謝料の金額を算定するために、次の3つの基準が存在しています。

 

①自賠責基準:自動車損害賠償保障法によって定められた算定基準です。交通事故の被害者に対する最低限の賠償を定めたものです(32万円)。

②任意保険会社基準:各自動車保険会社が独自に設けている算定基準です。最低限の補償である自賠責基準より少し高額の金額が設定されています(40万円程度)。

③弁護士基準(裁判基準):過去の裁判所の判断に基づいて弁護士が設定する算定基準です(110万円)。

 

各基準は、①自賠責基準<②任意保険会社基準<③弁護士基準の順で高額になります。

なお、()内の金額は、第14級の後遺障害が認定された場合の後遺障害慰謝料の金額を参考として入れています。入通院慰謝料についても各基準間には同様の差異があります。

軽微な交通事故でも弁護士に依頼するメリットはある

相手方保険会社から提示される金額は、②任意保険会社基準を基に算定された金額です。当然ながら③弁護士基準の方が有利な算定ができ、受け取ることのできる示談金が増えます。

(注)お怪我の内容と過失割合によっては過失割合を考慮する②又は③の基準より、過失割合を考慮しない①の基準の方が受け取ることのできる高額になる場合があります。③よりも①の方が有利な場合は、弁護士は①の基準で対応を進めることも可能です。

 

各基準で算定される金額の開きは重大な事故になればなるほど大きくなります(例えば、第11級の後遺障害慰謝料では、①136万円<②150万円程度<③420万円)が、比較的軽微な事故でも弁護士が対応を行うことで示談金の増額が期待できます。

なお、③の基準は弁護士が示談交渉を対応するか、裁判所が損害賠償額を判断するときにしか前提とすることができません。ご本人様が保険会社との交渉の際に③基準での対応を求めても、保険会社が応じることはありませんのでご留意ください。

弁護士費用について

軽微な交通事故の場合でも、弁護士に対応をご依頼いただくことでより適切な賠償を受け取ることが期待できます。

もっとも、弁護士が介入して示談金が増額したとしても、増額分以上の弁護士費用や実費がかかってしまったのでは経済的にメリットがありません。そのような事態を避けるために、ご契約されている自動車保険に「弁護士費用特約」がついていないかご確認ください。 

弁護士費用特約は契約者本人以外の事故でも利用できる場合があります。一般的には、同居のご家族や別居のお子様、事故車両の同乗者も弁護士費用特約を利用して弁護士への依頼を行うことができます。詳細は、保険会社や契約内容によって異なりますので、ご自身やご家族が交通事故の被害に遭われたときは、利用できる弁護士費用特約がないか保険会社の担当者にご確認をされることをおすすめいたします。

弁護士費用特約を利用できる場合、原則として弁護士への相談料や依頼の際の弁護士費用、事件の処理に必要な実費のご負担なく交通事故の対応を弁護士に依頼できます。

弁護士への依頼のタイミングについて

お怪我の有無や程度によって異なりますが、交通事故の解決には半年~1年程度の時間がかかる場合もあります。また、治療の継続や事故の過失割合、後遺障害認定申請など、対応しなければならないことは少なくありません。弁護士としても事故発生直後にご相談やご依頼をいただくのがもっとも適切に解決を進めることができます。もっとも、保険会社から示談金額を提示されたあとなどでも決して遅くはありません。

弁護士費用特約がある場合には、早めに弁護士に依頼をしても費用は変わりませんから、交通事故に遭われた際は一度弁護士からアドバイスを受けていただくことが望ましいです。

まとめ

交通事故の示談交渉において、適切な賠償を獲得するためには弁護士への依頼が必須です。これは、保険会社が損害額の算定に用いる基準と弁護士が算定に用いる基準が違うことが原因で、ご自身で対応をされる場合に弁護士基準を根拠とした解決をすることはできません。

当事務所では相手方保険会社との示談交渉や裁判のご依頼をはじめ、事故発生直後の法律相談にも対応させていただいています。また、弁護士費用特約がない方にもご相談やご依頼をしていただきやすいように当事務所では原則として着手金をいただかない費用体系としています。

交通事故の被害でお困りの際は、ご遠慮なく当事務所にご相談ください。

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