はじめに
離婚に向けた第一歩として「別居」をお考えの方へ、今後の協議を有利に進めるための重要なポイントをまとめた記事を作成しました。
特に持ち家やローンの問題は、後から取り返しがつかなくなることが多いため、その点を中心に解説しています。
「相手の同意」がなくても別居は可能です
「離婚したいけれど、相手が話し合いに応じてくれない」
「同じ空間にいるだけで精神的に限界。今すぐ家を出たい」
離婚を視野に入れたとき、物理的に距離を置く「別居」は、ご自身の心身を守り、冷静な話し合いを進めるための非常に有効な手段です。
また、離婚交渉がまとまらない場合には、「長期間の別居」を理由として離婚裁判を進めることも少なくないため、早期に別居を開始していただくことは離婚を早く成立させることに繋がります。
別居を検討される際、「勝手に出ていったら不利になるのでは?」「相手の同意や許可が必要なのでは?」とご不安になる方が多くいらっしゃいます。 しかし、結論から申し上げますと、別居はあなた自身の判断のみで行うことができ、必ずしも相手方配偶者との事前の合意ややり取りは必要ありません。
離婚に向けて関係が破綻している状況であれば、ご自身の身を守るために家を出ることは通常の行為であり、法的に不利に扱われる(「悪意の遺棄」とみなされる)ことは基本的にありません。
ただし、「どちらが家を出るか(あなたが出ていくのか、相手を追い出すのか)」については、現在の住まいの状況によって慎重に判断する必要があります。不用意にあなたが出ていくことで、その後の生活や離婚協議で大きな「損」をしてしまうケースがあるからです。
ご自身が家を出ていっても大丈夫なケース
以下のケースであれば、ご自身が家を出て別居を開始しても、後々トラブルが生じたり損をすることにはなりにくいと言えます。
① 現在の住まいが相手方配偶者の契約する「賃貸物件」の場合
アパートやマンションなどの賃貸物件であれば、持ち家に比べて清算が容易です。
特に、契約者が相手方配偶者の場合は、ご自身が荷物をまとめて新居へ移っても、法的なデメリットはほとんどありません。
別居を検討し始めたら、賃貸借契約の条件がどのようになっているのか(契約者が誰か・連帯保証人になっていないか)を確認するようにしてください。
② 自分の「荷物の運び出し」が容易な場合
ご自身の衣類や身の回りの品、仕事道具など、必要な荷物が少なく、すぐに持ち出せる状態であれば、ご自身が出ていくのが最もスピーディーで精神的負担が少ない方法です。
トラブルを避けるためには、相手方配偶者がいない時間に運び出しを済ませることが良いでしょう。
③ 実家への別居など生活が安定している場合
ご実家への別居ができる場合には、自分で新しく賃貸物件を借りる場合に比べ生活費や子育ての面から安定した生活を送ることができます。
親御様からの理解や支援が得られる場合には是非活用してください。
④DV被害を受けている場合
上記の3つとは異なる観点ですが、配偶者からDVや犯罪被害を受けている場合には、急ぎ別居することが生命や身体の安全を確保するために必要不可欠です。
市役所など行政の相談窓口でシェルターの案内を受けるようにしてください。
注意!出ていくと「損」をするケース
一方で、以下のようないくつかの場合には安易にあなた自身が家を出て相手を残してしまうと、後から厄介な事態が生じたり経済的に損をする可能性があります。
① 現在の住まいが自分が契約者となっている「賃貸物件」の場合
大家さんとの賃貸借契約は、あなたと大家さんとの契約であり、あなたが離婚のために別居したとしても、引き続き家賃の支払い義務が発生し続けます。
また、離婚が長期化する場合に、相手方配偶者が任意に退去しなければ無駄な家賃を払う期間は2年、3年と長期に亘ることになりかねません。
更に、離婚が成立しても元配偶者が賃貸物件に居座るケースも稀にあります。
このような場合でも、元配偶者を退去させるには離婚とは別途明渡しの裁判をして強制執行をする必要があります。
明渡しの実現には、物件の広さにもよりますが数十万円から100万円程度の費用を要することになります。
② 自分名義の「住宅ローン」が残っている持ち家の場合
①と同様に、あなたが離婚のために別居したとしても銀行との関係ではあなたがローン全額を支払続けなければなりません。
もし、あなたが住宅ローンの名義人(債務者)であるにもかかわらず家を出てしまった場合、「別居先のご自身の家賃」と「相手が住み続ける持ち家のローン」の二重払いが発生することになります。
あなたがローンを負担している(相手方の住居費を支払っている)ということは、別居中の生活費(婚姻費用)を決めるに当たって一定程度考慮されるものの、月額ローンの全額を婚姻費用から差し引きすることができるわけではありません。
このようなケースで家を出られることはかなりの経済的負担となりおすすめできません。
離婚後も元配偶者が居座る場合には退去にかなりの費用がかかることは賃貸物件の場合と同じです。
③ 現在の住まいが「自分や親族の持ち家」や「親族所有の土地上の持ち家」の場合
既に住宅ローンを完済していたり、親族の持ち家に住んでいる場合・親族所有の土地上に建物を建てて住んでいる場合も要注意です。
「自分の家だから、後から相手に出て行ってもらえばいい」と軽く考えて家を出てしまうと、離婚協議の際に、相手方配偶者が「ここから絶対に出ていかない」「子どもたちの環境を変えたくない」と居座ってしまうケースが少なくありません。
たとえ名義があなたであっても、夫婦として住んでいた家から相手を法的に強制退去させるのは非常に時間と労力がかかり、解決を泥沼化させる最大の要因となります。
相手方配偶者としても住み慣れた家から退去するということには積極的になりづらいケースが多いです。
住宅ローンを支払中の場合も同様ですが、「住み続けたい」という希望を双方にリスクなく実現することはかなり難しいため、そのような場合にあなたが出ていくのかどうかは慎重に判断する必要があります。
家を出る前に、まずは弁護士へご相談を
「もう限界だから、今日にでも荷物をまとめて家を出よう」
そのお気持ちは痛いほど分かります。しかし、不動産や大きなお金が絡む場合、その一歩を踏み出す前に、どうか一度立ち止まってください。
ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめとする阪神地域で、多数の離婚問題・別居サポートを手がけてまいりました。
あなたの現在の住まいの状況、ローンの有無、名義関係を詳しくお伺いした上で、「あなたが家を出るべきか」「相手を出させるべきか」、そして「そのために今日からどんな準備をすべきか」を具体的にアドバイスいたします。
取り返しがつかなくなる前に、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。あなたの新しい人生への第一歩を、私たちが安全かつ確実にサポートいたします。


