はじめに:「物損だけ」と軽く考えていませんか?
交通事故に遭われた際、幸いにもお怪我がなく、車の修理など、物の損害(物損)だけで済んだ場合、「怪我がないなら、あとは保険会社に任せておけばいいだろう」と、少し安心されるかもしれません。
しかし、その「物損だけ」の事故であっても、相手方の保険会社との間で、思わぬトラブルに発展するケースは決して少なくありません。
「提示された修理費用が不十分」「こちらの言い分を全く聞いてもらえない」など、相手方保険会社の対応に、不満や不信感を抱く方は非常に多いのです。
この記事では、物損事故の解決において、特に問題となりやすいポイントと、保険会社の提示額に安易に同意してしまうことのリスク、そして、弁護士に依頼することで、より有利で納得のいく解決を目指せることについて、分かりやすく解説します。
物損事故とは?人身事故との違い
物損事故とは、交通事故によって人が死傷することなく、自動車や建物、ガードレールといった「物」のみが損壊した事故を指します。
人身事故(人が死傷した事故)と最も大きく異なる点は、原則として、精神的苦痛に対する賠償である「慰謝料」が認められないことです。賠償の対象は、あくまで壊れた物の修理費用や評価額などが中心となります。
物損事故で「もめる」2大ポイント
物損事故の示談交渉において、相手方保険会社との間で特にもめやすいのが、以下の2つのポイントです。
ポイント1:過失割合(かしつわりあい)
過失割合とは?
事故が発生したことについて、あなたと相手方、それぞれにどれくらいの責任(不注意)があったかを示す割合のことです。
例えば、「あなた:相手方=20:80」といった形で示されます。
なぜ重要か?
この割合は、あなたが受け取れる損害賠償額に直接影響します。
例えば、あなたの車の修理費用が100万円かかったとしても、もしあなたの過失が20%とされれば、相手方から受け取れるのは、100万円の80%である80万円となり、残りの20万円は自己負担となってしまいます。
保険会社の主張に注意!
相手方保険会社は、自社の支払額を抑えるため、あなたにも一定の過失があったと主張してくることが非常に多いです。
たとえ追突事故のような、一見して相手方が100%悪いと思われるケースでも、「あなたにも何らかの不注意があった」として、10%や20%の過失を主張してくることがあります。
ポイント2:損害の範囲(修理費・代車費用など)
修理費用の範囲
「この傷は事故以前からあったものではないか」「もっと安い部品で修理できるはずだ」などと主張し、修理費用の一部を認めないことがあります。
経済的全損
車の修理費用が、その車の現在の市場価値(時価額)を上回る場合、「経済的全損」とされ、修理費用ではなく、時価額までしか賠償されないのが原則です。
この「時価額」の算定を巡って、保険会社と意見が対立することがあります。
代車費用
修理期間中に代車を利用した場合でも、「その期間、本当に代車は必要だったのか」「もっと安い車種でよかったはずだ」などと言って、代車費用の全額支払いを拒否してくることがあります。
評価損
事故によって車が「事故車(修復歴あり) 」となり、将来の売却価格が下がってしまったことに対する損害です。
特に高級車や新車の場合に問題となりますが、保険会社は評価損の支払いに極めて消極的であり、これを認めてもらうことは非常に困難です。
保険会社の言いなりになってはいけない理由
相手方保険会社の担当者は、日々何件もの交通事故を処理している交渉のプロフェッショナルです。
適切な保険金の支払いを行うことが保険会社の社会的責任であるものの、支払う保険金をできるだけ低く抑える方向で対応をされる担当者も存在しています。
法律や賠償実務の知識がなければ、その交渉の場で対等に渡り合うことは非常に難しく、気づかないうちに不利な条件で示談書にサインさせられてしまう危険性があります。
弁護士に依頼するメリット
「物損事故ごときで、弁護士なんて大げさだ」と思われるかもしれません。しかし、弁護士に依頼することで、以下のような大きなメリットがあります。
1.法的根拠に基づき、有利な「過失割合」を主張
弁護士は、事故の状況(ドライブレコーダーの映像、警察の作成した図面など)や、過去の膨大な裁判例に基づき、あなたにとって最も有利な過失割合を法的に主張します。
保険会社の不当な主張に的確に反論し、過失割合を修正させることで、最終的に受け取れる賠償額が大きく変わる可能性があります。
2.適正な「修理費用」や「車両時価額」を請求
修理工場や中古車市場のデータなどに基づき、正当な損害額を算定し、保険会社に請求します。不当な値引きや低すぎる時価額査定を許しません。
3.「代車費用」や「評価損」など、付随的な損害もしっかり請求
代車の必要性や、認められにくい評価損についても、法的な主張構成を練り、粘り強く交渉します。
4.保険会社との煩雑でストレスの多い交渉を全て代行
弁護士があなたの代理人として、保険会社の担当者との全ての交渉を行います。あなたは、煩わしいやり取りから解放され、精神的な負担なく、仕事や日常生活に集中することができます。
弁護士費用特約はありませんか?
「弁護士に頼むと費用が高くついてしまうのでは?」とご心配な方も多いでしょう。
ここで、ご自身が加入している自動車保険の契約内容を確認してみてください。「弁護士費用特約」が付帯していませんか?
これは、交通事故に関して弁護士に依頼した場合の弁護士費用を、ご自身の保険会社が上限額(多くは300万円)まで負担してくれるという、非常に有用な特約です。
これがあれば、実質的に自己負担ゼロで弁護士に依頼することが可能です。この特約が付帯していることに気づいていない方も少なくありません。不明な場合は、ご自身の保険会社にお尋ねされてください。
泣き寝入りせず、正当な補償を得るために
物損事故は、慰謝料が発生しない分、一つ一つの損害項目をいかに正当に認めさせるかが、極めて重要になります。保険会社から提示された最初の条件で安易に諦めてしまうことは、泣き寝入りに他なりません。
相手方保険会社の提示内容に少しでも疑問や不満を感じたら、示談書にサインする前に、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。
ルーセント法律事務所は、西宮市・宝塚市をはじめ阪神地域において、数多くの交通事故案件を解決してまいりました。物損事故の示談交渉においても、被害者の方の正当な権利を守るために、粘り強く交渉いたします。
ご自身の保険に弁護士費用特約が付いていれば、費用のご心配は無用です。まずはお手元の保険証券をご確認の上、初回無料相談をご利用ください。私たちが、あなたに代わって、あなたの正当な権利を実現します。
