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- 認定された等級に不満がある場合
後遺障害等級認定の結果に納得できない方へ:
異議申立ての方法と成功のポイント

「後遺障害等級が認定されたけど、思ったより低い…」
「自分の症状はもっと重いはずなのに、なぜこの等級なんだろう?」
「この認定結果、本当に正しいの?」
交通事故による後遺症について、ようやく後遺障害等級認定の結果が出たものの、その内容に納得がいかず、疑問や不満を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
後遺障害等級は、後遺障害慰謝料や逸失利益といった賠償金の算定基礎となるため、等級が一つ違うだけで賠償額が数百万円、場合によっては数千万円も変わることがあります。したがって、提示された等級が実態に見合わないと感じる場合、安易に受け入れず、「異議申立て」という手続きを通じて、再審査を求めることが非常に重要です。
ここでは、後遺障害等級認定の結果に納得できない場合の「異議申立て」について、その方法や流れ、成功のためのポイントを解説します。
後遺障害等級認定への「異議申立て」とは?
「異議申立て」とは、自賠責保険(または労災保険)が行った後遺障害等級認定の結果に対して不服がある場合に、その判断の再審査を求める正式な手続きです。
後遺障害等級は、主に医師が作成する「後遺障害診断書」や、MRI・CTなどの画像検査、神経学的検査の結果といった医学的な資料に基づいて審査されます。しかし、以下のような理由で、本来認定されるべき等級よりも低い等級が認定されたり、「非該当(後遺障害に当たらない)」と判断されたりすることがあります。
- 提出された後遺障害診断書の記載内容が不十分だった。
- 症状を裏付けるための必要な検査が行われていなかったり、その結果が提出されていなかったりした。
- 症状と事故との因果関係が十分に証明されていなかった。
このような場合に、新たな医学的証拠などを追加して提出し、再審査を求めるのが「異議申立て」です。異議申立ては、最初の等級認定申請を「事前認定」(相手の任意保険会社に任せる方法)で行ったか、「被害者請求」(自分で資料を集めて申請する方法)で行ったかに関わらず、どちらの場合でも行うことができます。
等級認定に不服がある場合の3つの対処法
認定結果に納得できない場合、主に以下の3つの方法で不服を申し立て、再審査や判断を求めることができます。
自賠責保険(共済)に対する異議申立て
最も一般的な方法です。等級認定を行った自賠責保険会社(または共済組合)に対して、異議申立書と新たな証拠を提出し、再審査を求めます。
申請先:
- 事前認定の場合:相手方の任意保険会社経由
- 被害者請求の場合:相手方の自賠責保険会社
特徴:
- 何度でも申立て可能(ただし、新たな有力な証拠がなければ結果が覆る可能性は低い)。
- 審査期間は通常3~6ヶ月程度。
- 初回の異議申立てが特に重要。ここで等級が変更されなければ、次のステップに進む必要が出てきます。
自賠責保険・共済紛争処理機構への申請(調停申立て)
自賠責保険への異議申立てでも結果が変わらなかった場合などに利用できる、中立・公正な第三者機関(ADR)です。弁護士や医師などの専門家が委員となり、提出された資料を基に等級の妥当性を審査・調停します。
申請先:
- (公財)自賠責保険・共済紛争処理センター
特徴:
- 申請(調停の申立て)は原則1回のみ可能。
- 審査には数ヶ月~半年以上かかる場合がある。
- 手数料は無料。
- 紛争処理機構の判断(調停結果)は、自賠責保険の判断を覆す場合があり、一定の拘束力を持つ。
訴訟(裁判)の提起
自賠責保険への異議申立てや紛争処理機構への申請でも納得のいく結果が得られなかった場合の最終手段です。裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、その中で後遺障害等級の妥当性についても主張・立証し、裁判官に判断を委ねます。
特徴:
- 解決までに1年以上かかることも多い。
- 弁護士費用とは別に、訴訟費用(印紙代、郵券代など)が必要。
- 裁判所は自賠責の等級認定に必ずしも縛られず、より実態に即した柔軟な判断がなされる可能性がある。
- 判決には強制力がある。
どの方法を選択すべきかは、事案の内容や収集できた新たな証拠によって異なります。まずは自賠責保険への異議申立てを行い、それでも納得できなければ紛争処理機構や訴訟を検討するのが一般的な流れですが、最初から訴訟を提起する方が有利なケースもあります。
異議申立てを検討すべきケースとは?
以下のような場合には、異議申立てによって等級が変更される可能性があります。
後遺障害診断書の記載内容が不十分・不適切
等級審査において最も重要な書類ですが、必ずしも全ての医師が後遺障害認定の基準や記載のポイントを熟知しているわけではありません。
よくある不備の例:
- 自覚症状(痛み、しびれなど)の記載しかない。
- 神経学的検査などの他覚的所見の記載がない、または不十分。
- 日常生活や仕事への具体的な支障の程度が書かれていない。
- 症状と事故との関連性についての言及が薄い。 → 医師に診断書の追記・修正を依頼したり、症状や検査結果について詳述した**「意見書」**などを別途作成してもらったりして、異議申立てを行うことが有効です。
等級認定に必要な検査が行われていない、または提出されていない
後遺障害の内容によっては、その存在や程度を客観的に示すために特定の検査(画像検査、神経心理学的検査、可動域測定など)の結果が重要になります。
よくある不足の例:
- むちうちで、レントゲンしか撮っておらず、神経症状の原因を調べるMRI検査が行われていない。
- 高次脳機能障害が疑われるのに、詳細な神経心理学的検査が行われていない。
- 関節の動きが悪いはずなのに、可動域の正確な測定結果が記載されていない。 → 新たに必要な検査を受け、その結果を証拠として提出することで、等級認定の可能性が高まります。
異議申立ての手続きの流れ(自賠責保険の場合)
flow 01
新たな証拠の収集
上記のような、等級認定を覆すために有効な新しい医学的証拠(修正・追記された診断書、新たな検査結果、医師の意見書など)を集めます。
flow 02
異議申立書の作成
決まった書式はありませんが、以下の内容を明確に記載します。
- 事故や被害者の情報
- 通知された等級認定結果
- 認定結果に対する不服の理由(どの点が不当か)
- 主張する正当な等級とその根拠(新たな証拠に基づく説明)
flow 03
書類の提出
作成した異議申立書と新たな証拠一式を、相手方の自賠責保険会社(被害者請求の場合)または任意保険会社(事前認定の場合)に提出します。
flow 04
再審査・結果通知
自賠責保険(損害保険料率算出機構)で再審査が行われ、通常3~6ヶ月程度で結果が通知されます。
異議申立てを成功させるための4つの重要ポイント
「新たな医学的証拠」を用意する
単に「納得できない」と主張するだけでは、結果が覆る可能性は極めて低いです。なぜ当初の認定が誤っているのか、そして本来認定されるべき等級は何かを、客観的な医学的証拠(診断書、検査結果、医師の意見書など)に基づいて具体的に示すことが不可欠です。
後遺障害診断書の内容を精査する
提出済みの後遺障害診断書の内容を改めて確認し、記載漏れや不十分な点がないかを検討します。必要であれば、主治医に面談して説明を求めたり、追記や意見書の作成を依頼したりしましょう。
(必要な場合)追加の検査を受ける
症状を客観的に示すために有効な検査が未実施であれば、新たに検査を受けることを検討します。どのような検査が有効かは、症状や疑われる後遺障害の内容によって異なります。
早期に弁護士に相談する
異議申立ては、医学的・法律的な専門知識が求められる複雑な手続きです。どのような証拠が有効か、異議申立書をどう作成すべきか、どの申請方法を選択すべきかなど、早い段階で交通事故と後遺障害に詳しい弁護士に相談することが、成功の可能性を高める鍵となります。弁護士は、医師との連携や証拠収集もサポートします。
(時効に関する注意)
異議申立て自体に法律上の明確な期限はありませんが、損害賠償請求権には時効(症状固定日の翌日から原則5年)があります。異議申立てを繰り返している間に時効が完成してしまうリスクもあるため、不服がある場合は速やかに行動を起こすことが重要です。
後遺障害等級認定の異議申立ては、ルーセント法律事務所へ

「認定された等級が低すぎる」「非該当の結果に納得できない」
後遺障害等級の認定結果は、その後の人生を左右することもある重要な問題です。諦めずに異議申立てを行うことで、より実態に即した、正当な等級が認定される可能性は十分にあります。
しかし、異議申立てを成功させるには、医学的な知見と法律的な専門知識に基づき、適切な証拠を収集・提出することが不可欠です。
ルーセント法律事務所では、交通事故による後遺障害案件を豊富に取り扱っており、
- 後遺障害診断書や検査結果の精査
- 異議申立てに有効な追加証拠に関するアドバイス
- 医師面談のサポート、意見書作成の依頼
- 説得力のある異議申立書の作成・提出
- 紛争処理機構への申請や訴訟(裁判)への対応
など、適正な後遺障害等級認定を得るためのあらゆるサポートを提供いたします。
初回のご相談は無料です。認定結果に少しでも疑問や不満をお持ちの方は、示談を進める前に、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士が、最善の解決策を一緒に考えます。