- HOME>
- 子供が事故加害者になってしまった
お子様が交通事故の「加害者」に… 親の責任と正しい対応とは?

「うちの子が、自転車で歩行者にぶつかって怪我をさせてしまった…」 「息子が友達の車を運転して、事故を起こしてしまったらしい…」
万が一、ご自身のお子様が交通事故の加害者になってしまった場合、親としてどのように対応すればよいのでしょうか? 被害者の方への対応はもちろん、法的な責任は誰が負うのか、親にも責任が及ぶのかなど、様々な不安がよぎるかと思います。
パニックにならず、冷静に、そして誠実に対応することが、問題を最小限に抑え、解決へと繋げる第一歩です。ここでは、お子様が交通事故の加害者となった場合の責任の所在と、保護者として取るべき適切な対応について解説します。
交通事故の責任は誰が負う? 基本原則
交通事故を起こしてしまった場合、その事故によって生じた損害を賠償する責任(民事責任)は、原則として事故を起こした本人が負います。
例えば、以下のような損害を賠償する義務が生じます。
- 被害者の治療費、通院交通費、入院費など
- 被害者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料
- 被害者が事故により仕事を休んだ場合の休業損害
- 被害者の車両や所持品などの修理費用(物損)
これは、お子様が自転車を運転中に歩行者に怪我をさせてしまったような場合でも同様です。
親(保護者)に責任が及ぶケースはある?
原則として、事故を起こしたのがお子様本人であれば、その責任は本人が負うため、親に直接の賠償責任はありません。しかし、例外的に親(保護者)が法的責任を問われるケースがあります。
お子様に「責任能力」がない場合(監督義務者の責任)
民法では、自分が行った行為の法的な責任を理解・判断できる能力を「責任能力」といいます。この責任能力がない者(責任無能力者)が他人に損害を与えた場合、本人に代わって、その責任無能力者を監督する義務のある者(通常は親権者である親)が賠償責任を負うと定められています(民法714条)。
一般的に、おおむね12歳~13歳未満の子供には、この責任能力がないと判断されることが多いです。(年齢だけで一律に決まるわけではなく、個別の判断となります)
親が責任を負う可能性のある例:
- 小学生の子供が自転車で歩行者に衝突し、大怪我を負わせた。
- 幼い子供が道路に飛び出して自動車と接触し、車に損害を与えた。
なお、お子様に責任能力があるとされる年齢(中学生以上など)の場合でも、親の監督が著しく不十分であったこと(例:無免許運転を知りながら放置していた、危険な運転を繰り返すのを注意しなかったなど)が事故の一因と認められるような特別な事情があれば、親自身の不法行為(民法709条)として責任を問われる可能性はあります。
親名義の車を子供が運転して事故を起こした場合(運行供用者責任)
親が所有・管理している自動車を、お子様(たとえ成人していても)が無断または許可を得て運転し、事故を起こした場合、自動車の所有者・管理者である親も「運行供用者」として、被害者に対する損害賠償責任を負う可能性があります(自動車損害賠償保障法3条)。これは、自動車という危険なものを管理・運用する立場にある者にも責任があるという考え方に基づきます。
お子様の違法行為を親が助長・黙認していた場合
例えば、お子様が飲酒運転や無免許運転をすることを知りながら止めなかったり、黙認したりしていた場合、親自身の監督責任や、場合によっては違法行為の幇助(ほうじょ:手助けすること)として責任を問われる可能性があります。
お子様が加害者となった場合の適切な対応ステップ
動揺する気持ちを抑え、以下の手順で誠実に対応することが重要です。
【最優先】被害者への謝罪とお見舞い
被害者の方がいらっしゃる場合は、まず何よりも先に、誠意を込めて謝罪し、お見舞いをすることが大切です。対応を保険会社任せにせず、まずは親として直接謝罪の意を示すことが、後の示談交渉を円滑に進める上でも重要になります。「保険に入っているから大丈夫」という態度は、被害者の感情を逆撫でし、問題を複雑化させる可能性があります。
加入している保険の確認
事故による損害賠償に利用できる可能性のある保険を確認しましょう。自動車保険だけでなく、火災保険や傷害保険に付帯する「個人賠償責任保険」や「自転車保険」などが使えるケースもあります。家族が加入している保険が適用できる場合もあるため、保険証券などをよく確認してください。
保険の種類(例) | 主な補償内容 |
---|---|
対人賠償責任保険 | 相手に怪我をさせたり、死亡させたりした場合の損害賠償 |
対物賠償責任保険 | 相手の車や物など(財産)に損害を与えた場合の損害賠償 |
個人賠償責任保険/自転車保険 | 日常生活(自転車運転中を含む)で他人に損害を与えた場合の賠償 |
(自身の)人身傷害補償保険 | (加害者側だが)同乗していた家族などの怪我の補償(契約による) |
弁護士費用特約 | 弁護士に相談・依頼する際の費用を補償 |
速やかに弁護士に相談する
特にお子様に責任能力がないとされる年齢の場合や、親名義の車での事故、被害者の怪我が大きい場合、相手方との話し合いがこじれそうな場合などは、できるだけ早い段階で弁護士に相談することを強くお勧めします。
弁護士は、
- 被害者との示談交渉を代理し、円滑な解決を目指します。
- 法外な損害賠償請求を防ぎ、適正な賠償額での解決を図ります。
- 親の監督責任が問われるリスクを評価し、適切な対応をアドバイスします。
- 事故の状況によっては刑事事件に発展する可能性もあるため、その回避や処分の軽減に向けた弁護活動を行います。
お子様の交通事故対応でお悩みなら、ルーセント法律事務所へ

「子供が事故を起こしてしまい、どうしたらいいか分からない…」
「被害者の方への対応は? 親の責任はどこまで?」
お子様が交通事故の加害者となってしまった場合、保護者の方の精神的なご負担は計り知れません。対応を誤ると、被害者との関係が悪化し、示談交渉が難航するだけでなく、予想外の高額な賠償請求を受けたり、場合によっては刑事責任を問われたりするリスクも伴います。
このようなとき、交通事故案件に精通した弁護士にご相談いただくことで、
- 法的な見通しを立て、今後の適切な対応方針が分かります。
- 精神的に負担の大きい被害者との交渉を任せることができます。
- 不当な請求を排し、適正な賠償額での解決を目指せます。
- 親としての法的リスクを最小限に抑えるためのアドバイスを受けられます。
ルーセント法律事務所では、お子様が加害者となってしまった交通事故に関するご相談にも対応しております。初回のご相談は無料ですので、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご連絡ください。経験豊富な弁護士が、ご家族にとって最善の解決策が見つかるよう、親身になってサポートいたします。