依頼者:Bさん(30代女性・会社員)/ お子様:高校生・中学生

ご相談前の状況
Bさんは10年前に協議離婚をしました。その際に相談した弁護士の勧めで、養育費月額8万円を支払う内容の「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成していました。
しかし、元夫からの支払いは最初の4年ほどで途絶えました。「生活が苦しい」「来月にまとめて払う」などの言い訳が続き、LINEもブロックされ、完全に音信不通の状態に。幸い、Bさんには正社員の仕事があったため、養育費の支払がなくても子どもたちに不自由をさせることはありませんでしたが、 養育費の未払い額についてふと思い出し、回収ができないものかと当事務所にご相談に来られました。
「公正証書はあるけれど、どう使えばいいのか分からない」「裁判をしないといけないなら、費用も時間もかかりそうで面倒だ」と疑問を抱えていらっしゃいました。
ご相談後の状況
ご依頼を受けた当事務所は、お手元の「公正証書」の内容を確認し、直ちに元夫の財産調査を行いました。結果、まとまった金額の預金が見つかったため、裁判所へ「債権差押命令(さいけんさしおさえめいれい)」の申立てを行いました。
まずターゲットにしたのは、元夫の「現預金」です。 Bさんが把握していた元夫の銀行口座は既に解約されていましたが、幸いにしてメインで使用していると思われる他の銀行口座にたどり着くことができました。
この時点で、未払い養育費の7割程度を回収できましたが、まだ全てではありませんでした。
元夫は転職せずに元の勤務先での勤務を継続していたため、給与の差し押さえの準備を進めていたところ、元夫から当事務所に「どうして差し押さえなんて酷いことをするのだ」とお怒りの連絡が入りました。法律に基づいて対応しているだけであることを伝え、未払い残高については給与から回収する予定を伝えたところ、元夫の態度は一変し、勤務先に知られて会社に居づらくなるのは避けたいとして、残額について一括で支払いがあり、将来分についても任意に支払をすることを約束しました。
結果的に、まとまった支払いが得られたことにより、Bさんは子どもの大学進学の費用や塾代を未払い養育費の回収から賄うことができました。

代表弁護士磯田 直也
弁護士からのコメント
「公正証書を作ったのに払ってくれない」と諦めてしまっている方は意外と多いのですが、それは非常にもったいないことです。 公正証書は、「裁判所の判決」と同じ効力を持つ最強の武器です。これがあれば、相手が無視しようが逃げようが、給与や預金を強制的に差し押さえることが可能です。
Bさんの場合、離婚時に相談した弁護士に公正証書の作成を依頼していたのも適切な対応でした。公正証書は当事者のみでも作成しようと思えば作成できてしまいます。ただし、公証役場は当事者が持ち込んだものをそのまま公正証書にするだけであり、内容が適切かどうかの判断やアドバイスはしません。当事務所に実際にご相談やご依頼があるケースでも、当事者間でのみ作成した公正証書があるものの、内容に不備や不足があり強制執行ができない(別途、費用と時間を掛けて裁判が必要)というケースがけして少なくありません。
残念だったポイントは、未払い期間が5年を超えていたことです。公正証書で取り決めた養育費にも時効があり、時効期間は5年です。つまり、5年以上前の部分についてはもはや請求ができません。5年が経ってしまう前に、弁護士にご相談をいただくことをおすすめします。
「相手の銀行口座や勤務先がわからない」という場合でも、弁護士会照会や第三者からの情報取得手続など、調査する方法はあります。公正証書が手元にある方は、泣き寝入りせず、すぐに当事務所にご相談ください。その「紙」には、お子様の未来を守る力があります。
解決のポイント
離婚時に公正証書の作成は要検討。養育費の支払がある場合はほぼ必須
公正証書があれば裁判を経ずに強制執行(差し押さえ)が可能
養育費には時効があり、公正証書の場合は5年
公正証書での取り決め内容には要注意。内容に不備があれば無意味

