60代・70代以上の刑事事件の傾向と概要
高齢者は「被害者」になるだけでなく、「加害者」になることもあります。
ニュースでは連日のように、高齢者を狙った特殊詐欺(オレオレ詐欺など)や強盗事件が報じられています。確かに、60代や70代以上の高齢者は犯罪の「被害者」になりやすい年代です。
しかしその一方で、高齢者がふとしたきっかけで「被疑者(加害者)」として警察に逮捕されてしまうケースも決して少なくありません。
「真面目で温厚だった親が、なぜこんなことを」
「認知症が始まっていたのかもしれない」
高齢者の刑事事件には、単なる悪意や欲望ではなく、「孤独」「経済的な不安」「加齢に伴う心身の衰え」が複雑に絡み合っていることがほとんどです。
ここでは、高齢者に多い典型的な犯罪と、逮捕された場合に残されたご家族が取るべき対応について弁護士が解説します。
高齢者であっても逮捕されるリスクはあり、むしろ保護が必要な事件では積極的に逮捕されます。早期の身柄解放や福祉支援の重要性は若年層に比べても大きいものです。
高齢者に多い3つの典型的な刑事事件
当事務所でもご相談が多いのが、以下の3つのケースです。
これらは、加齢による環境の変化や機能の低下が引き金になりやすい犯罪です。
1.スーパーやコンビニでの「窃盗(万引き)」
高齢者の犯罪の中で特に多いのが万引きです。これには大きく分けて2つのパターンがあり、法的な処罰の重さも異なります。
生活苦による窃盗
年金だけでは生活できず、空腹に耐えかねて食料品を盗んでしまうケースです。
お金があるのにやってしまう窃盗
実は実務上、非常に多いのがこちらです。
お財布に十分なお金があるのに、「気晴らし」や「スリル」、「認知機能の低下(クレプトマニア=窃盗症)」などから盗みを繰り返してしまいます。
生活が豊かなのに万引きをした場合、「同情の余地がない」とみなされ、生活苦のケースよりもかえって重く処罰される(実刑になりやすい)傾向があるため、より慎重な弁護活動が必要です。
2.取り返しのつかない「交通事故(過失運転致死傷)」
アクセルとブレーキの踏み間違いや、判断力の低下による痛ましい交通事故も、高齢者が加害者となる典型例です。
「長年無事故だったから」という自信が、ある日突然、他人の命を奪い、ご自身も「過失運転致死傷罪」という重い罪に問われる加害者へと変えてしまいます。
被害者が亡くなったり重傷を負ったりした場合、逮捕・勾留され、そのまま実刑判決を受けることも少なくありません。
高齢の親御様には免許証の返納を積極的に勧めるようにしてください。
やむを得ず運転を続ける場合は、自賠責保険や任意保険の更新がきちんとできているかも確認していただくべきです。
無保険のまま死亡事故を起こしてしまうと、損害賠償は極めて大きいものとなり結果として無一文となることもあります。
3.病院や介護施設での「暴行・性犯罪」
加齢や認知症の進行により、脳の前頭葉の機能(感情や衝動を抑える機能)が低下すると、以前は温厚だった人が突然怒りっぽくなったり、理性が効かなくなったりすることがあります。
その結果、入院中の病院や介護施設で、看護師や介護スタッフを突然殴ってしまったり(暴行罪)、体を無理やり触ってしまったり(不同意わいせつ罪など)する事件が起きています。
「病気のせいだから」では済まされず、被害届が出されれば警察が介入する事態に発展します。
難しいケースではありますが、被害者に対しては真摯に謝罪や賠償を進めることが望ましい類型です。
高齢者の逮捕で最も恐ろしい「健康状態の悪化」
もし、ご高齢のご家族が逮捕されてしまった場合、法的な処罰よりも先に心配しなければならないのが「留置場での健康被害」です。
警察署の留置場は、決して快適な環境ではありません。
持病の薬が自由に飲めなかったり、硬い床での就寝で体調を崩したりするリスクが非常に高い場所です。
また、突然の環境変化と強いストレスにより、たった数日の拘束で認知症が一気に進行してしまうことも珍しくありません。
高齢者の刑事事件において、最大かつ最優先の目標は、「一刻も早く警察署から出し、自宅や病院に帰すこと(身柄解放)」なのです。
「処罰」ではなく「見守り・治療」へ繋ぐために
高齢者の事件は、多くの場合、単に刑罰を与えても根本的な解決にはなりません。
生活困窮、認知症、孤立といった背景がある以上、刑務所に入れても出所後にまた同じことを繰り返してしまう(再犯)からです。
弁護士は、警察や検察、裁判官に対し、以下のような活動を行います。
早期の釈放交渉
「高齢で持病があり、逃亡の恐れはない」「家族がしっかり監督する」と説明し、自宅での生活を続けながら捜査を受けられるよう交渉します。
被害者との示談
万引きした店舗や、暴行を受けてしまったスタッフなどへ謝罪と賠償を行い、お許しを得ることで事件の早期解決・不起訴を目指します。
福祉との連携(環境調整)
再犯を防ぐため、ご家族と一緒に、認知症の治療病院への通院や、デイサービス・ヘルパーの導入など、「罪を犯さなくて済む生活環境(福祉のサポート)」を整え、それを裁判官に適切に伝えます。
ご家族だけで抱え込まず、弁護士にご相談ください
親が逮捕されるという事態は、ご家族にとっても想像を絶するショックです。
「何度も注意したのに」「施設を追い出されたらどうしよう」と、パニックになってしまうのは当然のことです。
ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、高齢者の刑事事件の解決や、福祉機関と連携した更生支援に力を入れております。
大切なご家族の健康と、残された穏やかな余生を守るため、一人で悩まずに今すぐ当事務所の無料相談へご連絡ください。ご本人にとって一番負担の少ない解決策を、ともに見つけ出しましょう。


