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盗撮とは
盗撮という言葉は日常会話でもよく耳にしますが、具体的にどのような行為が処罰の対象となるのでしょうか。
盗撮とは「人の性的な部位や下着などを正当な理由なく撮影する行為」を指します。
盗撮行為は複数の法律等が禁止していますが、
現在では原則として撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)によって処罰されます。
盗撮行為を規制する主な法律
性的姿態撮影等処罰法
2023年7月に施行された「性的姿態撮影等処罰法」(正式名称は「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」)は、盗撮行為に対する処罰に関して全国一律の基準で定めた法律です。この法律の制定により、それまで各都道府県の迷惑行為防止条例で規制されていた盗撮行為が統一され、処罰内容もより厳格化されました。
性的姿態撮影等処罰法では、正当な理由なく他人の性的な姿態等を撮影する行為を禁じています。
具体的には、正当な理由なく、ひそかに以下のような写真や動画を撮影した場合に処罰の対象となります。
- 性器、肛門、これらの周辺部位、お尻、胸部
- 上記部位を覆う下着
- わいせつな行為や性交等の最中の様子
また、被害者が暴力やアルコールの影響で撮影を拒否できない場合や、行為が性的なものではないと誤信した場合、そして第三者が閲覧しないと誤信した場合や被害者が18歳未満の児童の場合にも撮影罪が成立します。
これらの行為を行った者は、3年以下の拘禁刑(懲役刑)または300万円以下の罰金に処されることになりました。
「拘禁刑」は、2025年6月1日から施行される予定の新しい刑罰で、これまでの懲役と禁固を一本化した刑罰形態です。
各都道府県の迷惑行為防止条例
盗撮行為は、かつては各都道府県が定める迷惑行為防止条例により処罰されていました。迷惑行為防止条例は現在でも残っており、2023年7月12日までに発生した盗撮事件は引き続き迷惑行為防止条例によって処罰されています。盗撮罪の新設後においても、具体的な盗撮行為の内容によっては上記の撮影罪ではなく条例違反として処罰されるケースも見受けられます。
軽犯罪法
住居、浴場、更衣室、トイレなど、通常他人が裸や下着姿でいるような場所での盗撮は、撮影罪や迷惑行為防止条例に抵触しない場合でも軽犯罪法第1条23号の「のぞき」行為として処罰されます。
住居侵入・建造物侵入
盗撮を目的として、正当な理由なく住居や建物に侵入した場合、住居侵入罪や建造物侵入罪(刑法第130条)も併せて成立します。建造物侵入罪も含めて起訴・処罰される場合には処罰の内容が重くなってしまいます。
児童ポルノ禁止法
18歳未満の児童が被写体となる盗撮行為は、児童ポルノ禁止法に違反します。児童ポルノの製造にあたる場合、3年以下の拘禁刑(懲役刑)または300万円以下の罰金に処されることになります。
処罰対象となる具体的な盗撮行為
電車内で、スマートフォンを使って女性のスカート内を撮影する行為→迷惑行為防止条例違反
商業施設のエスカレーターで、女性のスカート内を撮影しようとスマートフォンを向けるが、実際には撮影しなかった行為
→東京都の条例では、撮影の有無に関わらず処罰対象
カフェの男女共用トイレに小型カメラを仕掛ける行為→迷惑行為防止条例違反建造物侵入罪
アルバイト先の更衣室に小型カメラを設置する行為→東京都では条例違反他県では軽犯罪法違反の可能性あり
盗撮目的でスーパーに侵入し、女子トイレに入ろうとしたが店員に発見され逃走した行為→建造物侵入罪
路上で見かけた女性の顔を1回だけスマートフォンで撮影する行為→状況によっては犯罪とならない可能性あり
盗撮事件の加害者となったときには、一刻も早く弁護士に相談を
盗撮は、被害者の尊厳を踏みにじり、心に深い傷を残す卑劣な犯罪です。このような行為を根絶するために、法律に基づく厳正な取り締まりがされています。
もし盗撮行為を行ってしまった場合は、一刻も早く弁護士に相談することが重要です。当日に現行犯逮捕される場合の他、防犯カメラの映像や交通機関のICカードの履歴から身元が特定され数ヶ月後に逮捕されるケースも少なくありません。
被害者との示談や捜査機関への対応について専門家のサポートは必要不可欠です。
ルーセント法律事務所では、初回無料相談も実施しておりますので、お一人で悩まずにご連絡ください。専門知識を有する経験豊富な弁護士が、しっかりと対応させていただくことをお約束いたします。