弁護士コラム

刑法第176条「不同意わいせつ罪」とは?
その内容と法定刑、示談による不起訴の可能性について

2026.01.06

はじめに

はじめに

2023年の刑法改正により、「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」は統合され、新たに「不同意わいせつ罪」として刑法第176条に規定されました。

本記事では、改正の背景や条文の内容、法定刑、そして被害者との示談が不起訴や処分の軽減に与える影響について、弁護士がわかりやすく解説します。

刑法第176条「不同意わいせつ罪」の概要

刑法第176条は、被害者の「性的自由」を保護するための規定です。

条文では、以下のような状態にある被害者に対して、わいせつな行為を行った者を処罰すると定めています。

不同意わいせつ罪の成立要件

次のいずれかの行為・事由により、被害者が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」にある、またはその状態にさせたうえで、わいせつな行為をした場合に成立します。

❶暴行または脅迫を用いる、またはそれを受けたこと
❷心身の障害を生じさせる、またはそれがあること
❸アルコールや薬物の摂取、またはその影響があること
❹睡眠その他の意識が明瞭でない状態にあること
❺同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがないこと
❻予想外の事態に直面して恐怖・驚愕していること
❼虐待に起因する心理的反応があること
❽経済的・社会的地位に基づく影響力による不利益を憂慮していること

 

さらに、以下のような場合も処罰対象となります。

・行為がわいせつなものでないと誤信させた場合
・行為者について人違いをさせた場合
・16歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合(13歳以上の場合は、行為者が5歳以上年長であることが要件)

法定刑と改正のポイント

不同意わいせつ罪の法定刑は以下の通りです。

6か月以上10年以下の拘禁刑(2025年6月より懲役・禁錮刑が統一され「拘禁刑」に)

 

この改正により、刑罰の内容は従来と同様ですが、処遇の柔軟性が高まるとされています。

また、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられたことも重要な改正点です。これにより、16歳未満の者に対するわいせつ行為は、同意の有無にかかわらず処罰対象となります。

示談による不起訴や処分軽減の可能性

刑事事件において、被害者との示談は非常に重要な意味を持ちます。

示談が成立することで、以下のような効果が期待できます。

不起訴処分の可能性が高まる

検察官は、事件を起訴するかどうかを判断する際に、被害者の処罰感情や被害の回復状況を重視します。

示談が成立していれば、被害者の感情が沈静化していると判断され、処罰の必要性が低いと評価されるため、不起訴処分となる可能性が高まります。

起訴猶予による前科回避

仮に犯罪の成立が認められる場合でも、示談が成立していれば「起訴猶予」として不起訴処分が選択されることがあります。

これにより、刑事裁判が行われず、前科がつくことを回避できます。

早期釈放や勾留回避にも効果的

逮捕後の勾留を回避したり、早期釈放につながる可能性もあります。

示談が成立していれば、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されるため、勾留請求が却下されることもあります。

示談交渉の注意点と弁護士の役割

示談交渉は、加害者本人が直接行うことは避けるべきです。

被害者の心理的負担を考慮し、弁護士を通じて慎重に進める必要があります。

示談交渉のポイント

  • 謝罪の意思を明確にすること
  • 被害回復のための賠償を提示すること
  • 被害者の処罰感情を軽減するよう努めること
  • 示談書を作成し、法的効力や客観性を持たせること

 

弁護士が介入することで、適切な示談内容の構築や、検察官への有利な情状提出が可能となります。

刑事事件の相談はお早めに

刑事事件の相談はお早めに

刑法第176条「不同意わいせつ罪」は、被害者の性的自由を守るために、従来よりも広範な行為を処罰対象とするよう改正されました。

法定刑は重く、社会的影響も大きい犯罪ですが、被害者との示談が成立すれば、不起訴や処分の軽減につながる可能性があります。

刑事事件に巻き込まれた場合は、早期に弁護士へ相談し、適切な対応を取ることが重要です。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、示談交渉から不起訴処分の獲得まで、豊富な経験を有しております。

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