弁護士コラム

あの罪、いつまで罰せられる?
刑事事件の時効(公訴時効)を弁護士がわかりやすく解説

2025.11.10

はじめに:「時効」と聞くと、何を思い浮かべますか?

はじめに:「時効」と聞くと、何を思い浮かべますか?

「昔犯した過ちが、今になってバレるのではないか

「何年も前に被害に遭ったが、今からでも犯人を訴えることはできるのか

 

ドラマや小説でもよく登場する「時効」という言葉。この時効には、民事上の時効(お金を請求できる権利がなくなるなど)と、刑事事件の時効があります。

この記事で解説するのは、後者の「刑事事件の時効」、正しくは「公訴時効」と呼ばれるものです。これは、国(検察官)が犯罪を犯した人を起訴(裁判にかけること)できる期間の制限を指します。

 

もし公訴時効が成立(完成)すれば、たとえ後から真犯人だと特定されたとしても、その罪で起訴されることはなく、刑事罰を受けることもありません。

では、この時効は、いつから始まり、どのくらいの期間なのでしょうか。代表的な犯罪を例に、その仕組みを分かりやすく解説します。

公訴時効は、いつからカウントが始まる?

時効のカウントがいつから始まるのか(起算点)は、非常に重要です。

法律(刑事訴訟法第253条)では、「時効は、犯罪行為が終つた時から進行する」と定められています。これが刑事事件の時効の大原則です。

  • 窃盗罪の場合
    財物を盗み取った時点で「犯罪行為が終了」し、その瞬間から時効のカウントが始まります。
  • 傷害罪の場合
    相手に怪我をさせた時点で「犯罪行為が終了」し、カウントが始まります。

 

「警察にバレた時」や「被害者が被害届を出した時」からカウントが始まるのではない、という点をしっかり押さえておきましょう。

犯罪別:時効の期間はどれくらい?

公訴時効の期間は、その犯罪の法定刑(法律で定められた刑罰)の重さによって決まっています。罪が重ければ重いほど、時効の期間は長くなります。
ここでは、代表的な犯罪の時効期間をご紹介します。

犯罪名 主な法定刑 公訴時効の期間
殺人罪 死刑、無期懲役など 時効なし(※1)
強盗致傷罪 無期または6年以上の懲役 15年
不同意性交等罪(旧 強制性交等罪) 5年以上の有期懲役 15年(※2)
傷害罪 15年以下の懲役など 10年
不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪) 6月以上10年以下の懲役 12年(※2)
窃盗罪 10年以下の懲役など 7年
詐欺罪 10年以下の懲役 7年
業務上横領罪 10年以下の懲役 7年
撮影罪(性的姿態撮影等処罰法) 3年以下の懲役など 3年
暴行罪 2年以下の懲役など 3年
名誉毀損罪 3年以下の懲役など 3年

(※1)殺人罪など「人を死亡させた罪で死刑にあたるもの」は、2010年の法改正で時効が廃止されました。
(※2)不同意性交等罪や不同意わいせつ罪などの性犯罪は、2023年の法改正で、時効期間が大幅に延長されました。

時効のカウントが「ストップ」するケースに注意

「海外に逃げていれば、時効が完成する」と考えるのは間違いです。
時効の進行は、以下のような特定の事情があると「停止」します。

  • 犯人が国外にいる場合
    その期間中は、時効の進行が停止します。
  • 検察官に起訴された場合
    起訴された時点で時効の進行は停止し、裁判が終わるまで時効は完成しません。
  • 共犯者がいる場合
    共犯者の一人が起訴されると、他の共犯者の時効も停止します。

民事の時効は「別物」です

ここで解説したのは、あくまで刑事罰を科すための「公訴時効」です。

これとは別に、被害者が加害者に対して損害賠償(慰謝料など)を請求する権利にも、民事上の「時効(消滅時効)」が存在します。

例えば、窃盗罪の公訴時効(7年)が完成して犯人が刑事罰を受けなくなったとしても、被害者が損害賠償を請求する権利は、「損害及び加害者を知った時から3年(または5年)」あるいは「不法行為の時から20年」であり消滅しません。

刑事上の責任と、民事上(お金)の責任は、全く別物であることに注意が必要です。

「時効が成立しているか」の判断は、弁護士にご相談を

「時効が成立しているか」の判断は、弁護士にご相談を

ここまで時効について解説してきましたが、「結局、自分のケースは時効が成立しているのか?」を個人で正確に判断するのは、極めて困難です。

  • 「犯罪行為が終つた時」がいつなのか、法的に争いがあるケース
  • 共犯者の存在や、海外渡航歴などで、時効が停止している可能性があるケース
  • 法律の改正によって、時効期間が変わっているケース

 

など、専門家でなければ見極められない複雑な要素が数多くあります。

 

「過去の事件について、警察から突然連絡が来た」
「古い事件で被害届(告訴状)を出したいが、時効が心配」

 

このようなお悩みをお持ちの方は、安易に自己判断せず、捜査機関に対応する前に、まずは刑事事件に詳しい弁護士にご相談ください。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、刑事事件に関するご相談に豊富な経験がございます。

ご相談は秘密厳守です。あなたの状況を法的な観点から正確に分析し、最善の対応策をアドバイスいたします。

初回のご相談は無料ですので、一人で悩まず、まずは私たちにご連絡ください。

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