弁護士コラム

職場の窃盗(置き引き・横領)、なぜ罪が重い?
発覚後の正しい対応と弁護士の役割

2025.08.14

はじめに:軽い気持ちの職場での窃盗、その大きな代償

はじめに:軽い気持ちの職場での窃盗、その大きな代償

「誰も見ていないから、レジから少しだけ

「会社の備品だから、一つくらい持ち帰ってもバレないだろう

 

このような軽い気持ちで、職場の金銭や物品に手をつけてしまう。その一回の過ちが、あなたの人生にどれほど大きな影響を及ぼすか、想像したことがあるでしょうか。

職場での窃盗は、コンビニでの万引きのような一般的な窃盗とは、その意味合いが大きく異なります。それは、単に物を盗むという行為だけでなく、会社や同僚からの「信頼」を根底から裏切る行為だからです。

そのため、発覚した際には、厳しい処分が下される可能性が非常に高いのです。実際に当事務所でご依頼をお受けした事例でも、職場での窃盗は捜査の厳しさや処罰の相場が高い傾向にあります。この記事では、職場での窃盗がなぜ重く扱われるのか、発覚後にどう対応すべきか、そして、最悪の事態を回避するために弁護士のサポートがいかに重要であるかを解説します。

なぜ「職場での窃盗」は、
万引きより罪が重くなる傾向にあるのか?

同じ「窃盗罪」であっても、職場での窃盗は、スーパーでの万引きなどと比べて、悪質だと判断されやすく、重い処分につながる傾向があります。その主な理由は「会社からの信頼に対する裏切り」です。

会社からの信頼を悪用した行為

従業員という立場を利用し、会社から寄せられていた信頼を裏切って行われるため、その裏切り行為自体が悪質だと評価されます。

犯行の容易性

従業員であれば、会社の内部情報や資産にアクセスしやすいため、その立場を利用した犯行は、機会犯的な万引きよりも計画的・悪質と見なされがちです。

常習性の疑い

職場での窃盗は、一度だけでなく、長期間にわたって繰り返されているケースも少なくありません。その場合、被害総額も大きくなり、常習性も加味されて、より重い処分が検討されます。

問われる罪は「窃盗罪」だけではない

  • 窃盗罪
    他人の財物を盗む罪で、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
  • 業務上横領罪
    経理担当者など、業務上、会社の金銭などを預かる立場の人が、その金銭を着服した場合などには、より重い「業務上横領罪」に問われる可能性があります。こちらの法定刑は10年以下の懲役であり、罰金刑の規定はありません。

発覚後の流れと、待ち受けるもの

職場での窃盗が発覚した場合、一般的に以下のような流れで事態が進行します。

❶社内調査と懲戒処分

まず、会社による内部調査が行われ、事実確認がなされます。

窃盗が事実であれば、就業規則に基づき、最も重い処分である「懲戒解雇」となる可能性が高いです。懲戒解雇となれば、退職金が支払われないことも多く、その後の転職活動にも大きな支障をきたします。

❷刑事事件化(被害届の提出)

会社は、警察に被害届告訴状を提出し、刑事事件化する可能性があります。会社としては、他の従業員への示しや、再発防止の観点から、厳しい対応をとることが多いです。

❸逮捕・勾留の可能性

被害額が大きい、常習性がある、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合には、警察に逮捕・勾留され、長期間身柄を拘束される可能性もあります。

最善の解決への道:会社との「示談」

このような最悪の事態を回避するために、最も重要かつ効果的な活動が、会社(被害者)との「示談」を成立させることです。

示談とは?

あなたが犯した過ちを真摯に謝罪し、盗んだ金品を弁済(被害弁償)した上で、会社に許してもらう(宥恕:ゆうじょ)ための話し合い、およびその合意のことです。

示談の重要性

  • 刑事事件化の阻止
    示談が成立し、会社が「被害届は提出しません」と約束してくれれば、刑事事件になること自体を防ぐことができます。
  • 不起訴処分の獲得
    もし既に被害届が提出されていても、示談が成立し、会社が被害届を取り下げたり、「加害者の処罰は望みません」という嘆願書を提出してくれたりすれば、検察官が「起訴しない(=不起訴処分)」と判断する可能性が格段に高まります。
    不起訴になれば、裁判は開かれず、前科もつきません。

なぜ、職場での窃盗こそ弁護士への依頼が不可欠なのか

犯罪行為によって信頼を裏切られた会社は、あなたに対して強い怒りや不信感を抱いており、加害者本人やその家族が直接示談交渉をしようとしても、感情的になってしまい、冷静な話し合いができないケースがほとんどです。

「会いたくもない」と、交渉のテーブルにすらついてもらえないことも少なくありません。

このような状況でこそ、弁護士の存在が不可欠となります。

1.当事者では困難な「示談交渉」を代理

弁護士が第三者として冷静に、かつ、あなたの代理人として会社側と交渉します。会社側も、弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、法的な観点から冷静に話し合いに応じやすくなります。

弁護士は、会社側に対し、迅速な被害回復など、示談に応じることのメリットも説明し、円満な解決を目指します。

2.刑事事件化(被害届提出)の阻止

窃盗が発覚したら、会社が警察に被害届を出す前に、いかに早く示談交渉を開始できるかが勝負です。

ご依頼いただければ、弁護士は直ちに会社側と連絡を取り、被害届の提出を待ってもらうよう働きかけることができます。

3.懲戒処分の交渉

刑事事件化を避けられたとしても、懲戒処分は避けられないことが多いです。

しかし、弁護士が交渉することで、一方的な「懲戒解雇」ではなく、話し合いによる「合意退職」の形にしてもらうなど、少しでも有利な条件での解決を目指せる場合があります。

4.警察の取調べへの対応

万が一、警察の捜査が始まった場合でも、取調べにどう対応すべきか具体的にアドバイスし、不利益な供述調書が作成されるのを防ぎます。

当事務所にご依頼いただいた場合の一般的な流れ

❶ご相談

事実関係、会社の状況、あなたの希望などを詳しく伺います。

❷会社との交渉開始

弁護士が直ちに会社(担当者や顧問弁護士)に連絡し、示談交渉を開始します。

❸示談書の作成・締結

被害弁償の方法や、被害届を出さない(または取り下げる)ことなどを明記した、法的に有効な示談書を作成し、締結します。

❹謝罪・被害弁償の実行

弁護士が謝罪の場に同行するなど、誠意ある対応をサポートします。

❺検察官との交渉(必要な場合)

示談書などを検察官に提出し、不起訴処分を求めます。

過ちと向き合い、社会復帰を目指すために

過ちと向き合い、社会復帰を目指すために

職場での窃盗は、決して許される行為ではありません。しかし、犯してしまった過ちから目を背けず、真摯に反省し、専門家の助けを借りて誠実に対応することで、未来への影響を最小限に抑え、社会復帰への道筋をつけることは可能です。

会社に発覚してパニックになっている、いつバレるかと恐怖を感じている。そんな状況であればこそ、一人で悩まず、一刻も早く弁護士にご相談ください。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、このような職場でのトラブルを含む刑事事件のご相談に、真摯に対応しております。ご相談は秘密厳守です。初回のご相談は無料ですので、あなたの未来のために、勇気を出して、まずは一歩を踏み出してください。

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