弁護士コラム

刑事事件の刑の重さ(量刑)はどう決まる?
執行猶予など有利な処分を得るためにできること

2025.06.23

はじめに:有罪判決、その先にある「量刑」の重要性

はじめに:有罪判決、その先にある「量刑」の重要性

ご自身やご家族が刑事事件の被告人となってしまった場合、有罪か無罪かという点もさることながら、「もし有罪になったら、どのような刑罰を受けるのだろうか」「刑務所に入らなければならないのだろうか」という、刑の重さ(量刑:りょうけい)に対する不安が最も大きいのではないでしょうか。

同じ罪名であっても、有罪判決は「懲役10年の実刑」や「懲役3年、執行猶予5年」など、様々です。「実刑」となれば刑務所に収容されますが、「執行猶予」が付けば、直ちに刑務所に入ることはなく、社会生活を続けることができます。

この違いは、その後の人生を大きく左右する、非常に重要な分岐点です。

では、この「量刑」は、一体どのようにして決まるのでしょうか。

そして、少しでも有利な処分を得るために、私たちにできることはあるのでしょうか。

この記事では、刑事事件における量刑の決まり方と、そのためにできること、弁護士の役割について分かりやすく解説します。

刑の重さ(量刑)が決まる仕組み

最終的な刑の重さを決めるのは、裁判官です。裁判官は、以下の2つのステップで量刑を判断します。

① まずは法律で定められた範囲(法定刑)がある

  • 犯罪ごとに、刑法などの法律で科すことのできる刑罰の種類と重さの範囲(「法定刑」といいます)が定められています。
    例えば、窃盗罪なら「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、強盗致傷罪なら「無期又は6年以上の懲役」といった具合です。
  • 裁判官は、この法律で定められた範囲内で、最終的な刑罰を決定しなければなりません。

② 様々な事情を総合的に考慮して判断される

法定刑の範囲内で、具体的な刑の重さを決めるにあたり、裁判官は事件に関するあらゆる事情を総合的に考慮します。これを「量刑判断」といいます。主な考慮要素は以下の通りです。

考慮される事情の分類 具体的な内容の例
犯行自体に関する事情
(犯情)
結果の重大性:被害金額の大きさ、被害者の怪我の程度、死亡の有無など
行為態様:計画性の有無、凶器の使用、犯行の悪質さ・巧妙さ、複数人での役割など
動機・経緯: なぜその犯行に至ったのか(生活苦、怨恨、出来心など)
被告人に関する事情
(一般情状)
反省の有無・程度: 罪を認め、心から反省しているか
前科・前歴の有無: 特に同種の犯罪歴があると不利になる
本人に関する事情:性格、年齢、境遇、生育歴など
更生の可能性: 再び罪を犯す危険性の高低
犯行後の事情
(広義の情状)
【重要】被害者との示談の成否: 被害者への謝罪と被害弁償がなされたか
【重要】被害感情: 被害者が許しているか、厳しい処罰を望んでいるか
自首したかどうか
家族による監督・サポート体制の有無

 

これらの様々な事情を天秤にかけ、裁判官は最終的な刑の重さを判断するのです。

量刑を軽くするためにできること

上記の考慮要素からも分かるように、被告人側が自らの行動によって、量刑に良い影響を与えることができます。特に重要なのは以下の3点です。

1. 被害者との示談を成立させる

  • 被害者がいる事件において、示談の成立は量刑を軽くする上で最も効果的な活動です。
  • 示談とは、加害者が被害者に謝罪し、示談金を支払うことで、当事者間で事件を解決する合意のことです。
  • 示談が成立し、被害者から「許します(宥恕:ゆうじょ)」という言葉や、「厳しい処罰は望みません」という嘆願書などをもらうことができれば、それは「被害者が許している=国が重い罰を与える必要性が低下した」と評価され、量刑に極めて有利に働きます。執行猶予を狙う上では、不可欠とも言える活動です。

2. 真摯な反省の態度を示す

  • 裁判官は、被告人が本当に反省しているかを注意深く見ています。単に「反省しています」と言うだけでなく、なぜ罪を犯してしまったのかを自己分析し、二度と繰り返さないための具体的な方策を考え、反省文や謝罪文などの形で示すことが重要です。

3. 更生のための環境を整える

  • 家族が情状証人として出廷し「今後は自分が監督します」と証言したり、身元引受人になったりすること。
  • 薬物やアルコール依存が原因であれば、専門の医療機関で治療を開始すること。
  • 仕事の内定を得るなど、社会復帰後の生活基盤を整えること。

これらの活動は、裁判官に「この人は社会の中で更生できる可能性が高い」という良い印象を与え、量刑を軽くする方向(特に執行猶予付き判決)に作用します。

量刑判断における弁護士の役割

上記のような活動は、ご本人やご家族だけで行うには限界があります。ここで、弁護士が重要な役割を果たします。

  • 事件の見通しを立てる
    豊富な経験に基づき、事件内容から予想される量刑の相場や、執行猶予の可能性などを判断し、今後の戦略を立てます。
  • 示談交渉の代理
    加害者本人や家族が被害者と直接交渉することは、被害者の感情を逆撫でし、かえって事態を悪化させる危険性があります。 弁護士は、あなたの代理人として、被害者の心情に最大限配慮しながら、冷静かつ適切に示談交渉を進めます。
  • 有利な証拠(情状証拠)の収集
    反省文の作成指導、家族からの陳述書作成のサポート、勤務先の上司からの嘆願書依頼など、量刑上有利となる証拠(情状証拠)を効果的に収集します。
  • 判官や検察官への効果的な主張
    収集した有利な証拠を、検察官や裁判官に対し、意見書などの書面や、法廷での弁論を通じて、説得力をもって主張します。

 

弁護士は、単に法律の知識を述べるだけでなく、示談交渉のプロフェッショナルとして、そして有利な情状を効果的に主張するプレゼンターとして、あなたの量刑が少しでも軽くなるよう、全力を尽くします。

諦めずに、最善を尽くすために

諦めずに、最善を尽くすために

たとえ罪を犯してしまったとしても、判決が出るまでは、あなたの将来は決まっていません。判決までの間にどのような行動をとるかによって、最終的な結果は大きく変わる可能性があります。

「どうせ有罪だから」と諦めてしまうのではなく、ご自身の行為と真摯に向き合い、被害者への謝罪と賠償を尽くし、更生への意欲を具体的に示すことが重要です。

ルーセント法律事務所は、宝塚市・西宮市をはじめ阪神地域において、数多くの刑事事件を手掛け、量刑上有利な事情を最大限主張することで、執行猶予付き判決を獲得してきた実績がございます。

もしご自身やご家族が刑事事件の当事者となってしまったら、一人で悩まず、できる限り早く当事務所にご相談ください。

あなたの未来への不利益を最小限に食い止めるため、経験豊富な弁護士が、刑事弁護の専門家として、あなたと共に戦います。

初回のご相談は無料です。まずはお気軽にご連絡ください。

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