弁護士コラム

盗撮事件(撮影罪)の詳細や改正内容

2025.03.11

はじめに

はじめに

盗撮事件と聞いて、どういった事件が思い浮かぶでしょうか。電車の中や公共のトイレでの盗撮、あるいは職場での盗撮などでしょうか。街中ではこうした盗撮事件への注意喚起・啓発などそれに関するポスターをよく見かけるかもしれません。

令和5年に、そのような盗撮事件の扱いについて、新たに法整備がされました。従来は各都道府県のいわゆる迷惑防止条例を中心に盗撮事件は規制されていましたが、現在は新しい法律によって全国一律の規制がされるようになりました。

同時に刑罰が重くなっており、盗撮事件が厳罰化されたといえるでしょう。本コラムでは、どのような法整備がされたのか、新法の注目点など盗撮事件の実務上の扱いで特筆すべき点について記載しています。

新しくできた法律とは?

盗撮事件に関し、令和5年7月13日から「性的姿態撮影等処罰法」が新しく施行されました。この法律の正式な名称は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」です。

撮影行為や撮影された影像に関して新しく規制がされています。なお、押収物に記録された性的な姿態の画像等の消去・廃棄については、令和6年6月20日より、法律が施行されています。

盗撮行為については、これまでも、各都道府県の迷惑防止条例や、児童買春等処罰法のひそかに児童ポルノを製造する罪などにより処罰対象とされてきました。しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なり、児童ポルノ製造罪も保護の対象は児童のみであり、これらの条例や法律だけでは対応しきれない事例が存在していました。性的姿態撮影等処罰法では、そのような事例も含めて、自分の性的な姿を他人に見られないという権利利益を守るため、意思に反して性的な姿を撮影したり、これにより生まれた記録を提供したりする行為などを処罰することとされています(法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A」)。

性的姿態撮影等処罰法の注目点

罰則の強化

撮影行為に対する罰則は、各都道府県の条例によれば、常習かどうかで違いはあるものの、概ね「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金」「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」となっていました。

一方、性的姿態撮影等処罰法によれば、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」となっており厳罰化の傾向が明らかです。この背景として、児童買春等処罰法(正式名称は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)第7条第5項で規定される、ひそかに児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する罪の法定刑が「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」とされていることとの均衡が指摘されています。

処罰対象(撮影罪の撮影客体「下着」に関連して)

撮影客体としての「下着」が、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例や性的姿態撮影等処罰法においても規定がされていました。新法では、「下着」に関して詳細な規定が置かれており、第2条第1号イにおいて「人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」を撮影客体としています。

具体的には、いわゆるショーツ、トランクス、ブリーフ、ブラジャーなどが「下着」に当たります。また、性的な部位を「間接に覆っている部分」として例えば、冬期に重ね履きしている下着が挙げられます。

処罰対象(撮影罪の撮影場所に関連して)

各都道府県の迷惑防止条例では、公共の場所や公共の乗物、不特定多数の者が利用するような場所、人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所での撮影行為を処罰対象としています。

しかしながらこれらの場所以外であっても、撮影される者の意思に反して撮影行為がされた場合には処罰対象とされるべきケースはあります。
そこで、性的姿態撮影等処罰法では、撮影場所を問わず、処罰対象とされる撮影行為を規定しています。

ケースの一例として、撮影された人が自ら露出するなどしたとしても、不特定又は多数の者の目に触れる状況にないと認識していた場合などです。具体的には、更衣室が手狭であったため、誰もいない会議室において着替えた際に性的な部位を自ら露出したものの、撮影される者としては、会議室内における着替えであるため、不特定又は多数の者の目に触れる状況にないと考えていたにもかかわらず、ひそかに入ってきた撮影行為者が撮影行為に及んだ場合などは処罰対象となると考えられています

(警察学論集第77巻第1号より引用)。

このケースはまさに従前の各都道府県の条例では処罰対象から外れる余地があると考えられる場面であり、性的姿態撮影等処罰法によって処罰できることが明確になった内容です。

性的影像記録提供等罪について

罪が対象とする「性的影像記録」とは、撮影罪の対象となる撮影行為から生成された影像を指しています。

例えば、撮影行為者が任意に自身の性的な部位を撮影した場合、当該行為は、性的姿態撮影等処罰法第2条1項各号に掲げる行為(撮影罪の処罰対象行為)にも、また同法第6条第1項の行為(送信された違法な影像の記録行為)にも該当しないため、当該行為により生成された記録は本罪の対象にはなりません。

押収物に記録された性的な姿態の画像等の消去・廃棄について

押収物に記録された性的な姿態の画像等の消去・廃棄については、令和6年6月20日より、法律が施行されました(性的姿態撮影等処罰法第9条以下)。

同日の法律施行以前は、性的姿態撮影等処罰法に規定される撮影罪や児童買春等処罰法に規定される犯罪などで撮影された画像あるいはその複写物について、当該犯罪が起訴されて有罪になった場合にのみ没収が可能である一方、不起訴の場合には没収できませんでした。すなわち、当該撮影画像あるいはその複写物が起訴・有罪の対象とならなければ被疑者ないし撮影行為者の手元に残る可能性がありました。

新法により、起訴・不起訴を問わず、検察官が行政処分として当該撮影画像あるいはその複写物を消去・廃棄できるようになりました。撮影されたデータの処分は被害者や被害者側弁護士として頭を悩ませていた部分であり、被害者救済と撮影画像等の拡散による二次被害の防止という意味で一歩前進したといえそうです。

最後に

最後に

上記のとおり、性的姿態撮影等処罰法は撮影行為のみならず、影像の提供・送信等も処罰対象として規定しており、その罰則は懲役刑を含みとても重いものです。

盗撮事件を犯してしまった場合や盗撮の疑いをかけられている場合には、できるだけ早く弁護士に相談してください。

弁護士と出頭をすることで逮捕・勾留を避けられた事例も過去多く存在しています。また、弁護士が被害者と示談交渉を行い、示談が成立することで不起訴処分を獲得できることも期待できます。

特に、被疑者と被害者との間に面識がなく、被害者の連絡先がわからない場合は捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手しなければなりません。このような場合の示談には弁護士の介入が必要不可欠です。

また、当事務所では犯罪被害者の方からのご相談も承っております。被害者側・加害者側双方の対応の経験があるからこそより充実した活動を行うことができています。
盗撮事件や刑事事件の処罰・被害についてお困りの場合は、宝塚市のルーセント法律事務所にぜひ一度ご相談ください。

お問い合わせはこちら

無料相談受付中

お問い合わせはこちら

050-3529-6256

受付時間:9:00~19:00

お問い合わせ

お気軽にお問い合わせください

公式LINEアカウント

友だち追加

ルーセント法律事務所 Lucent Law Office
coconala 法律相談
弁護士ドットコム
刑事事件相談弁護士ほっとライン
ベンナビ 刑事事件

050-3529-6256

メールでお問い合わせ

公式LINEアカウント