
公務員は民間企業の従業員以上に厳格な法律のもとで働いています。そのため、刑事事件を起こしてしまうと、懲戒処分を受けたり失職となるケースがあります。
国家公務員や地方公務員の方が刑事事件を起こしてしまった場合について詳しく確認していきましょう。
懲戒処分
懲戒処分には、免職・停職・減給・戒告の4種類があります。
免職
免職は、国家公務員法及び地方公務員法に基づく懲戒処分として最も重い処分です。
免職によって、公務員としての身分を失います。また、退職金の全部又は一部が不支給となります。
停職
停職は、一定期間職務停止が命じられることです。
公務員としての身分は残るため、停職期間が明けると職務に戻ることができます。
停職期間中の給与は支給されません。
減給
減給は、一定期間給与を減額するものです。
減給期間が終われば、減額されていた給与は元に戻ります。
戒告
戒告は、書面による厳重注意を受けることです。
職務や給与への影響はありません。
いずれの懲戒処分についても懲戒を受けた記録が残るため、その後の昇進や昇給に悪影響があります。
懲戒は、刑事事件の結果とは別途決定されますが、概ね刑事事件の処分の重さに比例した懲戒処分がなされる傾向にあります。
人事院が公表している懲戒処分の指針によれば、以下の事情を総合的に考慮の上判断するとされています。
① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
⑤ 過去に非違行為を行っているか
欠格事由(当然失職)との関係
公務員の欠格事由とは
国家公務員の場合は国家公務員法上(同第38条)、地方公務員の場合は地方公務員法上(同第16条)、欠格条項が定められています。これは、一定の場合にはそもそも公務員となる資格がないということです。
具体的に、地方公務員法第16条には次のように規定されています。
第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
禁錮以上の刑とは
刑事罰は、軽い方から順番に、罰金・科料、拘留、禁錮、懲役、死刑と定められています。
禁錮、懲役、死刑の判決を受けた場合、「禁錮以上の刑」に当たり、公務員としての資格を失ってしまい、懲戒処分とは関係なく直ちに失職することとなります。
なお、有罪判決の場合でも、「執行猶予」といって社会内での更生に期待して刑の執行を一定期間猶予する(猶予期間が経過した場合には刑罰権が消滅し、刑務所に入ることはない)という制度があります。
しかしながら、公務員の場合は執行猶予付きの判決であっても欠格事由に当たるため、失職は避けられません。
禁錮以上の刑が予想される具体的な事例
❶ 交通事故・道路交通法違反
重大な事故や飲酒運転などの場合、懲役刑や禁固刑の判決となることがあります。任意保険により損害賠償や慰謝料が被害者に対して支払われますが、別途刑事事件についても示談を行うことが有効です。
❷ 窃盗・詐欺・横領など財産犯
被害額が大きい場合や公金を横領した場合、懲役刑や禁固刑が避けられない場合もあります。弁護士が介入して被害弁償や示談を行うことが必須です。
❸ 暴行・傷害
被害者の怪我の程度、事件の経緯などにより実刑となるケースがあります。こちらも、被害者への治療費の支払いや謝罪などの対応次第では罰金刑に抑えることが期待できます。
❹ 痴漢・盗撮・不同意性交等などの性犯罪
特に重い不同意性交等罪となると、そもそも法定刑に罰金刑が存在しておらず懲役刑(または執行猶予付きの懲役刑)しか言い渡しができません。刑事裁判になる前に、被害者との示談を成立させるなど不起訴を目指した活動が必要不可欠です。
公務員の方が犯罪を疑われた場合、罪名と法定刑を確認していただき、禁錮以上の刑が法定されているのかどうか、罰金刑の余地があるのかどうかをご確認いただくことは必須です。
まとめ

当事務所では公務員の方の刑事事件の取り扱いが多く、自衛隊や消防などより特殊性のあるケースにも対応させていただいております。特に、代表弁護士は国の機関における懲戒審査委員会などの委員を務めており、懲戒処分についても実務上の知見が多く蓄積されています。
逮捕された場合の早期の身柄開放や被害者との示談交渉、刑事処分や懲戒処分の軽減、その他職務や日常生活への影響を抑えるために最善の対応をさせていただきます。
刑事事件を起こしてしまった公務員の方やご家族の方はいつでも宝塚市のルーセント法律事務所までご相談ください。